WEB本の雑誌

6月29日(金)

 何だか今週は煮え切らない1週間というか、消化不良のまますべての仕事が終わってしまった気がする。いや営業自体は、『らくだの話ーそのほか』椎名誠著と『本を読む兄、読まぬ兄』吉野朔実著が好調で嬉しく、また久しぶりに高津淳さんにお会いし、抱腹絶倒の書店話を伺うという、楽しい時間を過ごしたりし、かなり充実していたのだ。しかし他の部分が全部中途半端で、何だか哀しい。

 定時になって、本日が給料日だったことを思い出す。おこづかい制なのでそんなに嬉しくないけれど、「本は見かけたときに買っておけ」同様「金のあるうちに買っておけ」の法則に従い。ストレス解消とばかりに帰りに本屋さんへ。

 営業で毎日10件近い本屋さんを廻っているのに、どうして本屋さんに行くのはこんなに楽しいんだろうか。お店に入り、新刊棚を徘徊し、それから既刊書を彷徨く。仕事中は見ることのない、理工書(自然科学)や歴史書、人文書の棚をゆっくり見る。また娘と息子用に児童書の売り場も覗き、絵本などを手に取る。

 そうやって2時間ほど彷徨いて購入したのはこの3冊。『逝きし世の面影』渡辺京二著(平凡社ライブラリー)、『金沢城のヒキガエル 競争なき社会に生きる』奥野良之助著(平凡社ライブラリー)、『絵で見る日本の歴史』西村繁男著(福音館書店)。

 新刊はゼロだが、幕末から明治にかけて日本を訪れた外国人の日記などからその時代の生活を浮き彫りにした『逝きし世の面影』と金沢城の池に住む1526匹のカエルを9年間調査した驚きの記録『金沢城のヒキガエル 競争なき社会に生きる』はいつか読もうと思っていた本で、そのタイミングを計っていたのだ。また『絵で見る日本の歴史』は、先日図書館で借りて、娘と二人で気に入った本なのだ。

 しかしこの、本を買って、袋に入れてもらって、お店を出た後の、この幸福な気持ち。これは浦和レッズの勝利同様、何物にも代え難い心地よい感情だ。