7月19日(木)
午前中、デスクワークに勤しみ、午後から営業。
まずは紀伊國屋書店人宿本店のHさんのところに、資料をお届けにあがる。
するとHさんから「やっとできたんですよ〜」と『今月のイチオシ作家コーナー』である桜庭一樹さんの棚に連れて行かれ、『ようこそ魅惑の桜庭ワールドへ』というペーパーを渡される。
おお、制作中と聞いて楽しみにしていたのだ。早速、中味を拝見。桜庭さんのコメントに応援宣言、それぞれの著作へのコメントと裏面には4コママンガもついていて、いやはや例えA44つ折りの1枚ものとはいえ、作るとなったら大変だろう。
Hさんは「これだけ新刊点数が増えてくるとどうしても埋もれちゃうものもあるし、お客さんも選べなくなってしまうかも。だから、そういった中から面白い本を見つけ、紹介していくのが書店員にとって、今は大切な仕事なんですよ」と話される。
うーん、かつてはそういう役割を書評が担っていたような気がするのだが、書評は我らが「本の雑誌」を含め、新聞や週刊誌も意識的に読まなければ目にとまらないものだ。それが店頭であれば、不特定多数のお客さんに伝えることができるわけで、先日のブックフェアの講演で、オリオン書房の白川さんは「情報を発信することが大切」というようなことを話されていたが、まさにそういうことなのだろう。その情報はお客さんはもちろん、今度は逆に出版社にフィードバックされ、そのときあわせて白川さんが話されていた「情報は発信するところに集まる」という二重の構造を持っているのだろう。
ちなみにいつ頃からこういう「ペーパー」と呼ばれるものが出来てきたのだろうか。僕が覚えているかぎりでは、まだ青山ブックセンターにいた頃の高頭さんが、柴田元幸さんの講演&フェアに合わせて制作された「舶来文学柴田商店全点カタログ」が最初なのだが、それがここ数年、主にときわ書房聖蹟桜ヶ丘店の高橋さんが中心となってゲリラ的に結成される、道尾秀介応援団や森見登美彦応援団で一躍浸透し、好きな本を売るときにPOPは当然のアイテムで、それ以上にもっと強く推薦したいときのアイテムとして、広がっているのだろう。
そういえば高橋さんも桜庭さんのペーパーを作っていて、それには読書クラブにありそうな本のリストが掲載されていた。
そんな「ペーパー」を越えて、こちらはもはや雑誌なのではないかと思うほどの、完成度&面白さがあるのが、その後訪れたブックストアー談錦糸町店の『桜通信』である。こちらは「文芸担当シロー君の読書感想文〜これ読みました〜」と表紙に書かれているとおり、その月に読まれた面白本が、「本の雑誌」顔負けのぎっしりとした文字詰めで10数頁を使って紹介されている。そこから溢れてくるのはシロー君の本への愛と、鋭い読書観である。そして何より文章が面白い!
しかし毎月こんな立派なものを作るのは大変だろうと思うのだが、やはりそれは「本への愛」で乗り越えていると思われる。そうなのだ、結局ここに紹介したすべてのペーパーは、みんなみんな書店員さんの本への愛情で制作されているのだ。だからこそ著者にも受け入れられ、快く協力してもらっているのだろう。しかし裏返せばそのペーパーから聞こえてくる言葉がある。
「出版社の人間よ、本を愛しているか?」