WEB本の雑誌

9月7日(金)

写真家・高橋昇さんのお通夜に参列。58歳。

あまりに突然で、あまりに早すぎる死。
浮き球△ベースでお世話になり、可愛がってもらっていたのでショックが大きい。

僕が何気なく妻と娘の写真を撮っていたら「おい貸してみろ」と声をかけられ、「そこに並べ」と僕ら家族の写真を撮ってくれたことがあった。「まったくお前ら俺に写真を撮らせるなんて」とブツブツ言っていたが、スキンヘッドの奥に光る瞳は笑っていた。

優しくて、優しくて、優しくて……。そんな人だった。

高橋昇さんの写文集『笑った。』(本の雑誌社)には、こんな一文がある。

「モンゴルの故郷にこんなのがある。
 “人は泣きながら、泣きながら、人になる”のだそうである。流した涙の量だけ、泣いた数だけ人間らしくなれるんだそうな。だったらオイラはもうとっくの昔から立派な大人になっていなくてはいけないはず、……である。」

僕も今日は涙が止まらない。
人間らしくなれることよりも、もっと欲しいものがあるけど、どうにもならない。

高橋昇さんが『オーパ!』で共に旅をし、師と仰ぐ開高健さんへの思いを写真で綴った『男、が、いた。開高健』(小学館)の最後の一文を、僕も高橋昇さんに贈った。

「ありがとう、さようなら。」