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1月17日(木)

私が大好きだったときわ書房聖蹟桜ヶ丘店さんが15日に閉店してしまった。個性だけにとらわれず、お客さんの欲しがるものをしっかり置く理想的な売り場作りをされていたお店だっただけにとても残念だ。売上はきちんとあったようなのだが、ビルのオーナーが交代し、家賃の大幅な値上げを通告され、残念ながら閉店することになってしまったとのこと。

そういえばいつだかとある書店の経営者の人と話していたら「これから怖いのは家賃と借り入れ金の金利上昇だ」と言われたことがあったが、まさにその怖いことが今起きているのだろう。

閉店の翌日、本屋大賞の会議で、そのときわ書房のTさんにお会いした。

「こんなこと初めてなんでビックリなんですけど、閉店の日にほんとたくさんのお客さんにプレゼントや花束をいただいちゃって…。あるお客さんはこのお店がなかったらあの本に出会えなかったよありがとうと涙ぐみ、また別のお客さんは、このお店ができるまでうちの息子は本なんて読まなかったのに、今じゃ大の本好きになってちゃってなんて。ほんと閉店は悲しいけど、本屋というものを見直しちゃいました」

そう話すTさんの顔はものすごく輝いていたし、そういう関係がお客さんと築けたのは、Tさんだけでなくスタッフの方々が一生懸命売り場を作って来たからだろう。Tさんはひとつの区切りとしてときわ書房さんを退職されるそうだが、できればまた、いや絶対この業界に戻ってきて欲しい。

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夕方から高野秀行さんと単行本の打ち合わせ。
年末年始の宿題を見て頂くが、花丸はもらえず、再度検討へ。

打ち合わせ後、吉祥寺のいせやで、しばし酒。飲み終えて外に出ると、一気に酔いが覚めるような冷たい風が吹く。この風が暖かくなる頃には本が出来るか。頑張ろう。

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