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2月1日(金)

 午前中、中学2年生が本屋大賞の取材にやってくる。これがビックリするほど聡明な子で、インタビューも今まで受けた取材のなかで一番まともだった。しかし私の経験上、中学生がこんな真面目なわけがなく、ウリウリすると本心をさらし、屋上でタバコを吸いつつ、エロ本をどこで拾うかとかそういう男と男の話ができるのではないかと思ったが、隣に意味もなく座っている浜田が許さない。私が変な方向に話を持っていこうとすると「お茶飲む?」とか「チョコは食べない」とか邪魔をする。

 こいつだってきっと本屋大賞の話をするより、アホな話をしたいはずなのに…なんてことはなく、彼は月に15冊は本を読むそうで、好きな作家は伊坂幸太郎と本多孝好。本屋大賞に興味を持ったのはお父さんが「本屋大賞を信頼して本を買っている」と話していたからとのこと。「ラノベを読む友達はなぜか普通の小説を読まないんですよ」と憤りを呟いたりして、こやつまさに出版業界の申し子なのではなかろうか。アホ少年方面への勧誘は諦め、本の雑誌社入社方面に話を持っていく。

 午後、吉祥寺を営業。吉祥寺の本屋さんはやっぱり面白い。

 弘栄堂さん、ブックスルーエさん、リブロさんの有志で結成された『吉っ読』では、書店の枠を越えたフェアや販促をしているし、またその吉っ読には入っていない啓文堂さんは啓文堂さんで「おすすめ文庫大賞」などを開催している。いやそういう派手なイベントに思わず視線がいってしまうが、そうではなく、それぞれのお店の工夫された棚が面白いのだ。出来れば休日に、ゆっくり見て廻りたい。

 通勤読書は、会社でイラつくことがあったので、こういうときこそ我らがタマキングこと宮田珠己さんの出番だぁ!と『ときどき意味もなくずんずん歩く』(幻冬舎)。単行本を含めると、もうすでに4回は読んでいるはずなのに、読んでいる内に肩が震えだし、腹が痛くなり、涙をこぼし、しまいには周囲の人に「この人大丈夫か?」と冷たい視線を投げかけられるほど笑ってしまう。

 5度目の今回も、旅行中に使う言葉のところで大笑いしてしまい、埼京線車内最重要注意人物に認定されてしまった。しかしそのおかげで、会社でのイラつきは消え去り、良い気分で帰宅することができた。イライラしている人、疲れている人、我らにはタマキング(宮田珠己)がいるぞ!!

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