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3月12日(水)

 久しぶりに営業以外はノーアポ。
 思い切り書店さんを廻る。

 以前この欄で、午後5時を過ぎると顔を出すマックロクロスギエの話を書いた。マックロクロスギエとは、営業が一段落すると僕の頭のなかを「もういいんじゃない。もういいんじゃない。もういいんじゃない。」とカニのように横歩きし、その日の仕事を切り上げさせようとする脳内生物である。

 そのマックロクロスギエと一生懸命仕事をさせようとするマッシロシロスギエの攻防はその後も続き、体調や精神状態によって、まあ結果は五分五分というところだろう。これが毎日、マッシロシロスギエの勝利であれば、今頃、本の雑誌社も浦和美園の埼玉スタジアムの隣りに社屋を建てていたことだろう。

 しかしバカ忙しい3月である。
 ついつい自分に甘くなってしまいマックロクロスギエが圧勝してしまいそうになるのだが、なんとここに強敵現る! というかマッシロシロスギエにとっては、大きな味方がやってきたのである。

 その勇者の名前は「スギ姉」である。スギ姉は、3月になってから私の頭の中に登場し「10%ポイントアップ! 10%ポイントアップ!」と叫ぶのである。だからスギ姉が出現してからの私は、10軒を目標で営業しているとしたら、その10軒が終わっても終わりにならず、10%アップでもう1軒飛びこんでいるのである。スギ姉は、イイ奴なのであるが、疲れる。疲れるが、毎日やっていると慣れる。恐るべき、スギ姉。

 というわけでこの2週間、頑張ってきたのであるが、本日突然モンゴルからマックロクロスギエの仲間が、雲に乗ってやってきたからビックリ。奴の名は「センニュウ・カーン」。お店に飛びこもうとすると「このお店にはうちの本合わないんじゃない?」とか「この本はだいたいこんな部数でしょ?」なんて叫びつつ、モンゴリアン・チョップを食らわしてくるのである。

 確かにセンニュウ・カーンの言っていることは正しくて、営業15年の私も頷くことしきり。しかしそれであゆみを止めてしまっては、営業にならない。でも足は重くなる一方で、そうだよな、どうせ売れないよな、出版不況だし、花粉症だし、なんて考えてしまう。そうするとスギ姉がやってきて、注文も「10%アップ! 10%アップ!」と背中を押す。

 そんなこと考えているなら、早く営業せい!と思われるかもしれないが、営業マンにとって、実はお店に入るまでが戦いなのである……なんてのは、私だけかもしれないが。

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