4月29日(火) ぼくのJリーグライフ 06
物心つかないうちにスタジアムに連れて行かれ、真っ赤な洗礼を受けた我が娘であるが、昨年はまったく観戦することがなかった。小学生となり、自我に目覚め、興味のないものに時間をとられるなら友達と遊んでいたほうがいいらしい。父親である僕は淋しいかというとそうでもなく、ひとりで行ける気楽さを堪能していた。まっ、趣味なんて家族で分かち合う必要なんてないのだ。
ところがである。この日の朝、突然、娘が「サッカーに行きたい」と言いだしたからビックリだ。どうしたお前!? 「暇だから…」まあそういうなら連れていくのもやぶさかでもないし、そもそも子供ふたりの面倒を妻に見させておくと、再来週のアウェー川崎フロンターレ戦に行けなくなってしまうかもしれない……と危惧していたわけで、娘を自転車の後ろに乗せ、いざ! 出陣!!
しかしいつの間にか成長し20キロを超えている娘を腕に抱え、ゴール裏で叫ぶのは大変だ。腕も腰も痛いし、足下もふらついてくる。しかし途中からは娘も「フォルツァ!! 浦和レッズ!!」なんて声を出し始めるではないか。ついに洗脳に成功。これで杉江家は親子3代に渡ってレッズサポ。これを江戸っ子ではなく、赤っ子という。
しばらく親子二人でコールを送っていたら、「パパ、明日学校で声が出ないかも」なんて娘が呟いた。「なーに声なんて出なくてもいいんだよ。パパだってサッカーの翌日は会社で声出なくて仕事にならないんだから」「それで大丈夫なの?」「大丈夫も何も、仕事より大切なの」「そっか」
試合の方は、娘が来た時は負けないというジンクスどおり、コンサドーレ札幌に4対2の逆転勝利。
自転車の後ろに娘を乗せ、一気に国道463号線を駆ける。
後ろから風の音に負けない大きな声が響く。
「パパさ、3対2で勝っている時に、審判に怒ったでしょう。ああいうときは勝っているんだから我慢しないと」