5月15日(木)
例え本を作ろうと、僕の仕事の基本は営業にあり、営業の基本は、一も二もお店を訪問することだと思っている。やっぱりお店を見て、担当者さんにお会いして話をすることで、わかることがたくさんあるのだ。事件は現場で起こっているのである。
本日は満を持して横浜方面を営業。
さっそくM書店のYさんに昨日読み終えて興奮状態の『しずこさん』の話を振ると、すでに読まれていて「これは絶対売らないとね!」としっかり平積みされていた。さすがだ……。
またY書店ルミネ店では、店頭の面陳台がまるで恵比寿店のような使われ方に変わっていて、「ワガママくらいがちょうどいい ~だってオンナノコだもん~ 」なんて素晴らしいネーミングの女性の本フェアが大きく展開されていた。しかもその脇でオトコノコだもんフェアというのも小さく展開されていて、そこには白洲次郎などにまじって高田純次の本が並んでいたのが妙にうれしかった。いいなあ、こういうフェア。それから文庫では『ワーキングガール・ウォーズ』がパネル付きで展開されていて、ベスト10の4位に入っていた。
また西口のY書店さんでは、Uさん独特のPOPで『しずかな日々』椰月美智子(講談社)を大プッシュされているし、やっぱり横浜は面白い。
いや面白いのは何も横浜だけでなくこの後、訪問した川崎、蒲田、大森、大井町と各店それぞれいろんなことをされていて、営業でなくてもハシゴしたくなるお店がたくさんあるのだ。
そしてこのところずーっと感じていたことが確信に変わる。
それは今、本屋さんがものすごく面白くなっているということだ。
僕はこの業界に入って17年になるのだが、おそらく80年代のリブロなどの全盛期の頃と比べて遜色がないくらい、面白い本屋さんが増えていると思う。
まあ首都圏200店舗を営業という名のもとに定点観測しているだけの人間がこんなことを言っても正しくないかもしれないけれど、最近、営業に出て書店さんを覗くのが本当に楽しい。そして想像以上の売り場をみて感動して帰ることが多いのだ。
こうなったら僕ら出版社の人間は、書店さんを信じて、面白い本を作っていけばいいのではなかろうか。全部の店がとはいわないけれど、誰かがきちっと売ってくれる……という気がするし、誰かがきちっと売ってくれたものは、またどこかに飛び火するのであろう。ここで信頼関係がガッチリ出来たら、出版業界は次の一歩に進めると思う。