5月23日(金)
DTPに関してはまったくわからないので、入稿作業は松村にお願いする。
約束通り、ぴったり6時に『辺境の旅はゾウにかぎる』を入稿。ふつうの編集者ならこの辺で一段落つくのであろうが、営業も兼ねているというか、営業が本職の僕の場合、ここからが勝負であったりする。休む暇などないのである。
そうはいっても気持ちが若干軽くなったので、私に前田司郎の面白さを教えてくれたネット書店A社のHさんとR出版を退職されたばかりのTさんと池林房で酒を飲む。
1時間ほどして、我々の脇に座ったふたり客(男性)の会話に私の名前があがっているではないか。
「本の雑誌の杉江さんが……」。
まあ、ここは池林房であるから誰か知っている人が来ることもあるだろう。現に先ほどまで私の後ろで椎名編集長が飲んでいたのである。
もしや今度は沢野さんでも来たのかと思って横を向いて確かめるが、見たことあるようなないような人であり、僕が見ても向こうも何の反応もしないところを見ると、おそらく二人も僕を直接知っているわけではないのであろう。
さて問題である。
たいてい今までの人生でこうやって名前が挙がった時、その後に続くのは悪口である。自分の悪口を自分で聞くというのは結構つらいことで、その場合の反応は以下の4つである。
1)カーンというゴングの音が脳内に鳴り響き、ファイト!
2)他人のフリをして会話に割り込み、「そう見えて杉江さん、結構いい人なんですよ」と汚名返上に協力する。
3)一緒になって悪口をいう。
4)無視する。
ここは我らが太田篤哉さんのお店なので、こんなところで問題を起こすわけにはいかないので1)は却下。2)の汚名返上は、ぜひとも協力したいところなのだが、いい人なのかどうか自分でもわからないのでやめておく。3)の悪口ならいくらでも言えるのであるが、こちらはこちらで前田司郎とドラゴンクエストの話が盛り上がり出したので、それどころではなくなってしまった。
いったいあの二人の男性は、何を話していたんだろうか。
いやもしかしたら「今野サッシの関根さん」だったのかもしれないが……。