6月4日(水)
昼過ぎ、印刷会社のTさんが、『辺境の旅はゾウにかぎる』の見本を持ってやってくる。
ついに出来上がったのだ!
この感動を著者の高野秀行さんと分かち合いたいのだが、そのためには現在取材中の南アフリカかセルビアか、とにかく世界のどっかに飛び立たなければならないので、ここはひとり、本を捲ったり、匂いを嗅いだり、頬ずりしてみたり、カバーを外してみたりする。ジワジワと喜びが湧いてきた。
本を作るというのは予想通り大変なことであったが、僕の場合この後、売るというもっと大変なことがあり、しかし両方やってみると、猛烈に責任を感じるもので、これはこれでやりがいがある。
そうやって頬ずりしていると、発行人の浜本が近寄ってきて、隣で浜本も頬ずりし出しす。
そして「いいじゃん」と呟いた。
浜本に褒められたのは、第1回本屋大賞の授賞式のとき以来である。もう5年も過ぎているではないか。それは浜本が人をめったに褒めたりしないからなのか、僕が褒められるようなことをしていないかは不明である。しかし、まあ嬉しいので、今日は酒。