8月9日(土) ぼくのJリーグライフ
Jリーグ 第20節 柏レイソル戦 2対2 埼玉スタジアム
30秒でできること。
カップラーメンは2分半足りず無理。たぶん麺がかちかちの上、まだくっついているだろう。
本を1頁読む......のもおそらく無理。レジでお金を払って雑誌を1冊買うのはできるだろうか。
30秒でできること。
ロスタイムに逆転ゴールを奪った浦和レッズから、同点ゴールを奪うこと。
そんなの無理!とほとんどの人が思うかもしれないが、この日の埼玉スタジアムでは、その無理が僕らの目の前で起きたのだ。
1対1で迎えた柏レイソル戦のロスタイム。永井が高原とのワンツーから抜け出し、決勝ゴールを奪ったとき、僕は隣にいた森川と抱き合った。劇的勝利という文字が頭に浮かび、これだからサッカー観戦は辞められないと思ったのだ。
その時点ロスタイムの残りは2分もなかっただろう。しかも柏のキックオフのボールを浦和レッズが奪取し、後はキープすればいいだけなのだ。僕の後ろで観戦しているB書店のYさんが叫ぶ。
「終わりだよ、終わり。時計みろ、コノヤロー」
あと30秒持ちこたえれば、あるいは主審が気を利かせてゲーム終了を早めていれば浦和レッズの逆転勝利で終わり、僕らは幸せに勝利の歌を歌ったであろう。しかし、目の前で起きたことは、あまりに衝撃的で、そして馬鹿らしかった。カウンターからボールを受けた柏フランサのシュートが、浦和のゴールネットを揺らしたのであった。
僕は海中の魚が一気に釣り上げられたときのように、口から何かを吐き出しそうになった。
ドーハの悲劇に代表されるようにように、サッカーは試合終了のホイッスルがなるまで何が起こるかわからない。わからないけれど、起きちゃいけないことがある。まさに天国から地獄。とんでもない試合が終わり、出るのはため息ばかり。