8月11日(月)
- 『宿屋めぐり』
- 町田 康
- 講談社
- 1,995円(税込)
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「本の雑誌」9月号の搬入日。しかし製本所からのトラックの到着が早く、僕と鉄平が出社したときには、すでに浜田や小林や松村によって社内に運びこまれていた。「すいませんです」と謝る鉄平の顔に「ラッキー」と書かれていたのは、見逃せない。
その鉄平が「『宿屋めぐり』町田康(講談社)読んでますか?」と質問してきたのであるが、僕と鉄平は一緒にライブに行くほどの町田康ファンなのである。そりゃ当然新刊が出たら読むだろうと答えたかったのが、実は40頁まで読んで、まったく内容が理解出来ず、どうしたもんか悩んでいたところだったのだ。
しかしただでさえ「ヤクルトは弱いですね。我が阪神は強いですよ」と駅で会った瞬間に言い出すような鉄平に対して、そのまま告白することができず「これから読むよ」と嘘をついてしまった。後で考えてみると、もしかしたら鉄平もまったく理解出来ず悩んでいたのかもしれない。
暑いが、営業に出かける。
十号通り商店街を歩いていたら、なんと目の前に侍がいるではないか。侍は甲州街道をすたすた渡り、東京三菱銀行のキャッシュディスペンサーに並んだ。