海も山も川も宇宙もいいけれど、夏はやっぱり読書に限る！　というわけで、本の雑誌８月号は、お待たせ上半期ベスト１の発表号だ。2009年の12月から2010年の６月までに出たエンターテインメントから独断と偏見でベスト10を選ぶエンターテインメント・ベスト10座談会から、ミステリー、ガイブンの上半期総括、そしてエンタメ・ノンフ賞に事件ノンフ大賞に読者が選ぶ極私的ベスト１、さらに上半期最大の問題作『1Q84 BOOK3』を大森望がめった斬るあぶないコラムまで、上半期の傑作大作問題作面白本をどかーんと総まくりの超特集。エンターテインメント・ベスト１に輝いたのは読み始めたら止まらない少年成長剣士小説『○○の○○○』！　さあ、読み逃し本のチェックが済ませたら、ガツンとみかんにガリガリ君で、いざ、活字三昧夏休みに突入だあ！
　
　新刊めったくたガイドは、三橋曉がフランス歴史ミステリの新星ロマン・サルドゥのデビュー作に五つ星をつければ、山崎まどかは歴史に触れて人生を変えてゆく女たちの話にじっと手を見る。大森望がフンボルトありアデリーありのペンギンＳＦの夏を寿げば、宇田川拓也は大飛躍の野球ミステリ『スカウト・デイズ』に注目！　アライユキコが中島京子『小さいおうち』が超面白い！と大プッシュすれば、金子のぶおはバナナですべって、「食べ物」をめぐる哲学で満腹。そして北上次郎はＩＴ全般に興味がないのに、なぜが『グーグル秘録』を堪能！　門外漢がなぜ急いで買いに走ったのか、その理由は46ページを読んでくれぃ！


　今月は真夏の特大号ならではの特別企画がてんこ盛り！　まずは西村賢太のオールタイムベストテン。守備範囲が極めて狭い偏執気質の作家が繰り返し読み続ける私小説五人男をいざ、チェック！　続いては芥川賞候補作家・柴崎友香が「図書カード三万円使い放題！」に登場。あまりに都合のいい話に半信半疑のまま予算オーバーで買いまくった十九冊を見てくれぇ！　そして、沢野ひとしがホストを務める突発対談「沢野ひとしの昼から飲んで話そう！」がスタート。第１回のゲストは珍ニッポンを探訪し続ける男・都築響一。少年時代の読書体験からカラオケの喜びまで、沢野画伯がしつこく突っ込む６ページだ。第１回といっても第２回があるかどうかは不明なので、気にしないように。
　さらに、高野秀行がエンタメ・ノンフを地でいく実録で、あっという間に再登場。帰ってきたエンタメ・ノンフ人生は「オアシスの酔っぱらい」だ。妻ともども酒を飲み続けるチュニジアの夜に気分はアート・ブレイキー!?　と思えば、大矢博子は別府温泉でお風呂セット片手にほげほげ読書。湯遍路さんのテーマソングに驚愕だあ！　そしてそして現代の出版界に一石を投じる社会派企画「シリーズ●2010年出版界に期待する人々」がついに登場！　第１回は「小説新潮」編集長いけるじゃんと早川書房のノンフィクちゃんをクローズアップ。こちらは２回３回と続く予定なので、今後の展開にも要注目だ。というわけで、どこをとっても読みごたえたっぷりの本の雑誌８月号は内緒のおまけつき。93ページを開いて、あはははと笑ってくれぇ！