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2019年11月 ナス天にらめっこ号 No.437

 ただいま巷で秘かなブームになっているマイナーポエットとは、いったいなんだ!? というわけで、本の雑誌11月号の特集は「マイナーポエットを狙え!」。マイナーポエットの真実とそのおもしろさを追究する古本屋台でヤクルト・スワローズな座談会から、古書店で人気のマイナーポエットたち、知る人ぞ知るマイナーポエットに偏愛マイナーポエット、外国のマイナーポエットまで、メジャー作家では味わえないマイナーならではの奥深い世界を堪能する特集なのである!

 新刊めったくたガイドは、小財満がトマス・ハリス79歳の新境地『カリ・モーラ』にぶっ飛べば、林さかなは新しい人生の扉を開く『きのこのなぐさめ』で心のトリップ。大森望が"幻の名作"の大将格『パラドックス・メン』が出た!と大喜びなら、千街晶之は巻を措く能わずの『盲剣楼奇譚』が面白い!と猛プッシュ。大塚真祐子が又吉直樹『人間』の熱量と切実さに震えれば、仲野徹は闇社会の帝王の怒濤の半生記がすごい!と太鼓判。そして北上次郎は宇佐美まことの物語を信じて読め!と大絶賛だ。私たちが読みたかった物語が奇跡的に現出するのだ、というおじさんの言葉を信じて、さあ、読んでみよう!

 そして今月は高野秀行が久々に登場! なんと不定期連載「SF音痴が行くSF古典宇宙の旅」でSFとのファーストコンタクトに挑戦すれば、読者アンケートは「私の偏愛タイムトラベル小説!」でSF度も百二十パーセントアップ!? 本の雑誌スッキリ隊に新登場スッキリブラックが参入、五人組にバージョンアップして甲州勝沼で本棚をスッキリきれいにすれば、岡崎武志は赤瀬川原平が「銀座を清掃することで汚」したと言及。黒い昼食会が「岩波文庫的」をするどく問えば、単行本が出たばかりの堀井憲一郎はまえがきとあとがきは両立するかをゆるーく調査。さらに村上貴史は「一人ひとりの想いを描く熱いドラマ」池井戸潤の10冊をすぱーんと厳選。さあ、10月26、27日は待ってましたの「神保町ブックフェスティバル」。今年も雨が降りませんようにと星に願いをかけつつ、本の雑誌11月号を持って、神保町でマイナーポエット・クルージングといこう!


■お詫び 本の雑誌11月号のアンケート葉書「今年の文庫ベスト1」において誤植がありました。大変申し訳ありません。謹んでお詫び申し上げ、下記の通り訂正させていただきます。

×誤 2019年11月以降に発行された文庫

◎正 2018年11月以降に発行された文庫

目次

本棚が見たい!

11月の書店 ちくさ正文館書店本店/11月の本棚 黒田研二
SF音痴が行くSF古典宇宙の旅/SFとのファーストコンタクト 高野秀行
本の雑誌スッキリ隊、甲州市勝沼に行く!  
読者アンケート/私の偏愛タイムトラベル小説! 
憧れの住む東京へ 赤瀬川原平④/銀座を清掃することで汚す 岡崎武志 

特集:マイナーポエットを狙え!

座談会/マイナーポエットはヤクルトスワローズである!? 岡崎武志・荻原魚雷・島田潤一郎 
素晴らしいマイナーポエットを一人、失なってしまった 坪内祐三 
骨折りのとも 田中美穂 
尾形亀之助の見つからない詩集 内堀弘 
ギッシング再読 能邨陽子 
小さな声の作家たち 山本善行 

新旧いろいろ面白本/火星の上陸からさらに遠方の星々へ 椎名 誠
一私小説書きの日乗/堅忍の章(十五) 西村賢太
生き残れ!燃える作家年代記/たかが金でトラブるぐらいならサクッと明朗会計がいいんでござる 鈴木輝一郎
黒い昼食会/「岩波文庫的」って何だ!?

新刊めったくたガイド

トマス・ハリス79歳の新境地『カリ・モーラ』にぶっ飛ぶ! 小財 満
新しい人生の扉を開く『きのこのなぐさめ』 林 さかな
“幻の名作”の大将格『パラドックス・メン』が出た! 大森 望
巻を措く能わずの『盲剣楼奇譚』が面白い! 千街晶之
又吉直樹『人間』の熱量と切実さに震える! 大塚真祐子
闇社会の帝王の怒濤の半生記がすごい! 仲野 徹
宇佐美まことの物語を信じて読め! 北上次郎

陸秋槎の学園青春ミステリに注目! 宇田川拓也
十八年ぶりの新刊で十二国記祭りだ! 内田 剛
先生の蔵書買い取りで耳福の日々! 坂上友紀
異能ファンタジイ版ゴッドファーザー『翡翠城市』 山岸真
不健康な自虐からの解放 岡部 愛
阿佐ヶ谷のネオ書房復活を寿ぐ! 小山力也
文才がすごいギャルから古代ローマ帝国へ べつやくれい
第3次ブームの『韓流ぴあ』が熱い! 原カントくん

ユーカリの木の蔭で/埴谷雄高、絶賛 北村 薫
サバイバルな書物/命とは何かを明言する新しい物理法則 服部文祥
私がロト7に当たるまで/ペロン靴の波 宮田珠己
モーター文学のススメ/農業が孕む絶望 速水健朗
マルジナリアでつかまえて/私の他人の蔵書 山本貴光
坪内祐三の読書日記/「キム・ドクの女房と、やりてえな」と日テレの倉持アナは言った/坪内祐三
連続的SF話/ネットの成長物語 鏡 明
南の話/ウルグアイのハッパミッション 青山 南
そばですよ/上野駅不忍口の正面でフォアグラとワインとそば。 平松洋子
日本SF戦後出版史/一九六七年のSF出版シーンの巻 高橋良平
カオスとフラクタル円城 塔  
焦熱の悪だくみ 江部拓弥 
短歌で〈空間〉を切り取る 石川美南 
開かれた対話の治療技法 風野春樹 
ホリイのゆるーく調査/まえがきとあとがきは両立するか 堀井憲一郎
神保町物語/吉田二郎の山 沢野ひとし
池井戸潤の10冊/一人ひとりの想いを描く熱いドラマ 村上貴史

続・棒パン日常/締めくくりの夜中の本屋​​ 穂村 弘 
三角窓口/令和元年出版界最大のニュースはこれだ! 他
今月の社食 橋本 恭 

今月書いた人
掲載図書索引
今月本の雑誌に遊びに来た人
後記 

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