担当=牧眞司
- 2024年12月3日13:15
【今週はこれを読め! SF編】
技術アイデアと現代的テーマ、そして希望のドラマ〜藤井太洋『まるで渡り鳥のように』- 藤井太洋の第二短篇集。十一篇を収録する。初出はさまざまな媒体にわたるが、日本に先駆けて海外(中国語・韓国語・英語)で発表されたものが六篇あるのは、国際的な文芸...
- 2024年11月26日11:30
【今週はこれを読め! SF編】
牧歌的な雰囲気とナイーヴな対話〜ベッキー・チェンバーズ『ロボットとわたしの不思議な旅』- ベッキー・チェンバーズは、2015年にスペースオペラ長篇『銀河核へ』で商業デビュー(邦訳は創元SF文庫)。この作品はアーサー・C・クラーク賞の候補になり、シリ...
- 2024年11月19日11:30
【今週はこれを読め! SF編】
地下都市の秘密と菌類が覆われた地上の奇観〜キム・チョヨプ『派遣者たち』- 限られた環境で生まれ育った主人公が、広い世界をめざす。SFで繰り返し扱われてきた題材である。憧憬と冒険、出会いと闘い、秘められた真相、開けゆく視野.........
- 2024年11月12日11:30
【今週はこれを読め! SF編】
巨大病院としての都市、罹患した宇宙〜韓松『無限病院』- 韓松(ハン・ソン)は中国SFの四天王のひとりと目される実力派。これまで短篇は紹介されてきたが、本書は待望の長篇邦訳である。英訳からの重訳だが、元の中国版よりも...
- 2024年11月5日11:30
【今週はこれを読め! SF編】
洒落た綺譚から、名状しがたい怪奇幻想まで〜イーディス・ウォートン『ビロードの耳あて』- イーディス・ウォートンは、アメリカ上流社会の人間模様を描いた長篇『無垢の時代』(1920年)で、ピューリッツァー賞を受賞。また、短篇の名手として名を馳せた。本...
- 2024年10月22日11:15
【今週はこれを読め! SF編】
異星遺物の脅威と冷酷企業の支配に抗して〜マーサ・ウェルズ『システム・クラッシュ』- 大量殺人とその記憶削除という過去を抱えた、人型警備ユニット"弊機"(人間の部分と機械の部分がまじっている)を主人公とする人気シリーズの最新長篇。物語としては、...
- 2024年10月15日11:30
【今週はこれを読め! SF編】
語りの技巧が冴えるスパニッシュ・ホラーの傑作〜サマンタ・シュウェブリン『救出の距離』- 作者サマンタ・シュウェブリンは1978年アルゼンチン生まれ。二十一世紀初頭より作品発表をはじめると、たちまち評価を獲得し、国内外のいくつもの文学賞に選出される...
- 2024年10月8日11:30
【今週はこれを読め! SF編】
史実と伝奇とが、新しいSFとして豊かに交雑〜大恵和実編訳『日中競作唐代SFアンソロジー 長安ラッパー李白』- 大恵和実編の中国SFアンソロジーは、『中国史SF短篇集 移動迷宮』『中国女性SF作家アンソロジー 走る赤』(後者は武甜静、橋本輝幸との共編)につづき、本書で三...
- 2024年10月1日11:30
【今週はこれを読め! SF編】
近未来のチェ・ゲバラ、あるいはポストヒューマンの胎動〜藤井太洋『マン・カインド』- 藤井太洋の新作。〈SFマガジン〉に2017年から21年にかけて連載され、22年には星雲賞長編部門を受賞している。ちなみに単行本化をまたずに、同賞長編部門を獲得...
- 2024年9月24日11:30
【今週はこれを読め! SF編】
輻輳と脱線と饒舌の狂想曲〜ステファン・テメルソン『缶詰サーディンの謎』- たいへんな怪作。いくつかのエピソードが入り組みながらミステリ調で小説は進むが、結末で正真正銘のSFだとわかる。もしかすると、こんなものはSFではないと怒りだす...