第219回:今村翔吾さん

作家の読書道 第219回:今村翔吾さん

2017年に『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』を刊行してデビュー、翌年『童神』(刊行時に『童の神』と改題)が角川春樹小説賞を受賞し、それが山田風太郎賞や直木賞の候補になり、そして2020年は『八本目の槍』で吉川英治文学新人賞を受賞と、快進撃を続ける今村翔吾さん。新たな時代小説の書き手として注目される今村さんは、いつ時代小説に魅せられ、何を読んできたのか? 軽快な語り口調でたっぷり語ってくださいました。

その2「中学生時代から「オール讀物」を愛読」 (2/6)

  • 決定版 鬼平犯科帳 (1) (文春文庫)
  • 『決定版 鬼平犯科帳 (1) (文春文庫)』
    正太郎, 池波
    文藝春秋
    726円(税込)
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  • 壬生義士伝 下 (文春文庫 あ 39-3)
  • 『壬生義士伝 下 (文春文庫 あ 39-3)』
    次郎, 浅田
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――大先生たちの作品をほぼ読み切ってしまった後は、読書はどうされたのですか。

今村:中学生の頃に、ほとんどの先生がもうお亡くなりになっていると気づいて「ああ、『鬼平犯科帳』の続きがもう出ない」「未完なのか」となって、無謀にも「まあ、自分が続き書きゃあいいか」というか「書いてみたいな」と思ったんでしょうね。言い換えれば、歴史小説や時代小説の系譜の続きを書いてみたいと思ったのがこの頃でした。
 で、「もう読む本がない」と言いつつ、そのあたりから確か北方謙三先生や浅田次郎先生にはまって、めちゃくちゃ読み漁ったんです。僕が初めてサイン会に行ったのが浅田先生が『壬生義士伝』で、高1の時でしたね。京都のジュンク堂書店やったかな。「こんな若い子が読むんだ」と編集さんと盛り上がったんですよ。『壬生義士伝』、はまったなあ。この前本棚の並びを直してたら『一刀斎夢録』が出てきて「ああ読もう」と思ってなんか全部読んじゃって。浅田先生、好きやなあ。

――「自分で続きを書こう」と思ったとのことでしたが、何か書かれたのでしょうか。

今村:ぜんっぜん書かなかった。口だけでした(笑)。ただ、僕は中学生の頃から「オール讀物」を読んでいたんです。「小説新潮」も読んでいた。それこそ、歴史の先生とかのエッセイや対談が載ってますよね。ああいうのが好きで読んでいると、「歴史を書くのはね、焦らなくていいんだよ」みたいなことをおっしゃっているんです。「40歳、50歳になると人として醸し出す重みが出る」みたいな。池波先生没後10年特集とかでも「むしろそれまで書いちゃいけないと思う」みたいなことが先生の言葉として書かれてあって、僕は池波先生の言うことを守ってきていますから「なるほど40歳、50歳にならない俺は書いちゃあかんねんな」って思っていました。司馬先生も「(若いうちに)書いてもいい味はでない」みたいなことは言うてはって、なるほど人生経験を積めばいいんだなというのは漠然と思って、40歳くらいまでは社会に出て働こうと思っていました。

――歴史の勉強も好きだったのでは。

今村:図鑑的なものを読んでいたら詳しくなって予備知識ができました。たとえば司馬先生の『夏草の賦』を読んで「長曾我部元親書いてんねや」って思ったらその関連の図鑑的なものを読んで、また小説に戻って、その往復。資料的なものと小説的なものと往復して僕の歴史の知識は培われていきました。
 だから歴史は成績良かったですね。他はヤバかったけれど(笑)。それは大人になってからも変わらんで、歴史系のものは面白そうなものがあったらとりあえず全部買っています今でも、歴史の本買う時は「資料として買っておこう」じゃなくて「面白そう」と思って買ってるから。この前も『戦国、まずい飯!』を見た瞬間「面白そう」と思って買ったし。

  • 新装版 夏草の賦 (上) (文春文庫)
  • 『新装版 夏草の賦 (上) (文春文庫)』
    司馬 遼太郎
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  • 戦国、まずい飯! (インターナショナル新書)
  • 『戦国、まずい飯! (インターナショナル新書)』
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