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山田 岳の<<書評>>
文中の「’」は、関西アクセントを示すアクセント記号であります!
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「トライアル」
評価:B
40歳未満の方、「♪あしーたがある」と浮かれている方は読んではいけません(笑)いいけど、読んでもわからないかも。じぶんの可能性がどんどんうしなわれていく中年の苦悩なんて。競輪、モーターボート、オートレース、競馬、いずれの話も主人公はこれから伸びていく選手たちですが、対照的に、先が見えてしまった人たち(借金におわれる兄、ピークをすぎた選手の夫、余命いくばくもない父、流れ者の厩務員)がキーパーソンとして描かれています。彼らこそが、この短編集の真の主人公なのかもしれません。「中年のおじさまはステキ♪」というあなたは、一つひとつの物語に出てくる男たちの、のこりすくなくなった「可能性」をいとおしんでやってください。いずれも現場でたんねんに取材したようで、リアルな臨場感を楽しむことができます。
【文春文庫】
真保裕一
本体 448円
2001/5
ISBN-4167131099
●課題図書一覧
「T.R.Y」
評価:A
おおきに。課題図書にならへんかったら、読んでへんわ。安っぽい少年コミックみたいなタイトルのせいで(笑)時は明治、中国の革命運動に協力して、日本の軍部相手に一世一代の大バクチ。いや大ペテン。これがなんで、横文字のタイトルにならなあかんの?「革命もまた天にむかってのペテン」とは、かつてヘルメットかぶってかんばらはった人には許せへんことかもしれん。け’ど、痛快。詐欺師、伊沢修自身、かつてロシアの革命運動に共鳴したためにペテンに遭ったというあたり、ものがたりの奥行きを深めてます。最後にどんでん返しに次ぐどんでん返し。すべては夢とはきえんますけ’ど、夢だけはのこった、ってとこでっしゃろな。
【角川文庫】
井上尚登
本体 667円
2001/5
ISBN-4043582013
●課題図書一覧
「Y」
評価:A
先月、佐藤正午の長編を読んでみたいといったら、さっそくの登場です。編集部に感謝(笑)主人公は、ぜんぜん記憶にない高校の同級生からの「手紙」(ふつうならEメール添付ファイルでおくるのに、なぜかフロッピーにおとして、わざわざ代理人が届けた)の世界に、とまどいながらも引き込まれ、やがては、ふりまわされていきます。その主体性のなさに不快感をおぼえる読者もすくなくないかと思いますが、主人公が他者の不条理にふりまわされるのは、小説の手法として、よくあるものです。43歳の人間が25歳にもどって、ひとりの女をすくおうとする。そのために歴史、というか個人史がいろいろとちがったものになる。そのときどきの選択にしたがって時間軸が無数に存在する、というのもSFではよくある話です。たすけようとした女が実は・・・というあたりが、佐藤正午的なこころみであり、文学的な深みをかもしだしています。クライマックスへむかって怒涛のように突き進む描写力には、いやはや、おそれいりました。
【ハルキ文庫】
佐藤正午
本体 648円
2001/5
ISBN-4894568586
●課題図書一覧
「島津奔る」
評価:AA
<豊臣秀吉亡きあと、朝鮮半島で転戦中の日本兵をいかにぶじに帰還させるか>この問題をきちんと考えた人は日本の中にはいませんでした。現代のわたしたちもなんとなく、停戦交渉がすぐにできて帰ってきたのだろうとおもうばかりです。実際には、戦意をうしなった日本兵をたたきのめそうと、明・朝鮮連合軍が手ぐすねをひいて待っておりました。この問題をただひとり考えていたのが島津義弘。島津軍が30倍もの敵兵を一手にひきうけて壊滅させ、時間をかせぎ、日本兵の帰還を果たしたのでした。<朝鮮出兵、どうしてこんな無益な戦さを行ったのか>老いてボケた秀吉の愚行というのが一般的ですが、義弘は「戦乱がおさまったら不景気になる」と、その真相を見抜いています。いわく、戦国日本経済をソフトランディングさせるための出兵であったと。これだけ大局=政治のうごきやら、戦争のゆくえやらが読める義弘が、<どうして関が原の戦いでは西軍として参戦することになってしまったのか>「敵前突破」だけで語られることの多い島津の関が原ですが、そこには、どんな意味があったのか。それが戦後処理とどう関係していたのか。たんなる歴史物語でおわらない本書の魅力と言えそうです。
【新潮文庫】
池宮彰一郎
本体 各667円
2001/6
ISBN-4101408165
ISBN-4101408173
●課題図書一覧
「芸能人別帳」
評価:B
「ニッポン国初代大統領石原慎太郎閣(略)は、満十八歳に達して身体健常である国民男子に、軍事訓練を含む二年間の集団生活を義務づけると布告した」という記述にひっくりかえりました。「いわく『これは、“徴兵制度”ではない。日本の若者に、愛国、正義、独立、進取の気概を回復しようとする精神大革命である』」現在の都知事の姿をみごとに予見しています。一方、京都府がお金をだして中村錦之助(のちの萬屋錦之助)主演の映画「祗園祭」が撮影されたとは、いまでは京都新聞でも知っている人がすくないのでは。ほかにも貴重な資料を満載。竹中労がややもすれば差別的な扱いしかうけてこなかったのは、サービス過剰の口語的文体に、その一因があるのではないでしょうか。明治の「言文一致運動」にもかかわらず、話し言葉で書かれたものは、いまでも、書き言葉のものよりも低く見られています。
【ちくま文庫】
竹中労
本体 950円
2001/6
ISBN-4480036377
●課題図書一覧
「悪童日記」
評価:B
「子どもには見せられない児童文学」だそうです。セックス・シーンが出てくるからでしょうか。それとも不条理の連続技だから?性もまた生の一部であり、戦争という極限状態の中では、もっともグロテスクなかたちで噴出する。はっきりと教えてあげるのも教育ではないでしょうか。日本でも戦争中は多くの子どもたちが親から引き離され、疎開先で不条理な体験をつぎつぎと強いられました。でも、この本のふたごの兄弟のように、しぶとく、したたかに生きた話は聞いたことがありません。じぶんの生をもてあまし、自ら不条理を生み出す人間さえいる昨今、世界は不条理に満ちていて、いまの日本が歴史的にもまれに見る幸運な状態にあると教えることは、これからを生き抜く子どもたちには必要なことと思われます。中学・高校生のあなたには、今年の夏休みはこの本で読書感想文を書くことをおすすめします。まちがいなく、賞をとれるでしょう。審査員の先生方には思いもよらぬテーマ・素材だからです。
【ハヤカワepi文庫】
アゴタ・クリストフ
本体 620円
2001/5
ISBN-4151200029
●課題図書一覧
「勝手に生きろ!」
評価:B
アメリカの「あかんたれ」のお話。先月の『夫婦茶碗』よりも評者の評価が高いのはなぜでしょう。主人公(ブコウスキー自身がモデル)の人柄でしょうかね。へんにかっこつけることもなく、あがいてみせることもなく、日本の編集者がつけたタイトルのような「いきがり」もなく、淡々と「こわれて」ます。父親への屈折した感情には、共感さえ抱いてしまいます。こわれた人間をこわれたまま、存在を許してしまうアメリカの懐のふかさ!なにひとつ「救い」のない物語ですが、主人公がちっとも悲観していないところが「救い」です。まじめな人には許せないかもしれませんが。
【学研M文庫】
C・ブコウスキー
本体 580円
2001/5
ISBN-4059000434
●課題図書一覧
「書剣恩仇録」
評価:C
さいしょの1冊しか読めてないのですが、さいごの1冊を読んだだけでも印象はかわらないでしょう。つまり「北斗の拳」「ドラゴン・ボール」「燃えよドラゴン」「酔拳」&たくさんの香港カンフー映画をまとめて1本にしたビデオを早送りで見ているかんじ。ストーリーは次々起こるアクション・シーンをつないでいるだけ。ハチャメチャでおもしろいが、文学的な深みはない。なんだか疲れる。つぎつぎ繰り出される必殺技、そのほとんどは作者の創作で実体はない。言葉だけが踊っている。
【徳間文庫】
金庸
本体 各571円
2001/5
〔一〕ISBN-4198914826
〔二〕ISBN-4198914834
〔三〕ISBN-4198915016
〔四〕ISBN-4198915024
●課題図書一覧
「デッドリミット」
評価:A
<毒の輪>=毒性の強い農薬が先進国から途上国に輸出され、その農薬のかかった農産物が途上国から先進国に輸入されて子どもたちの口にはいる。このことを知ってほしくて著者はこの本を書かはったようです。け’ど、<陪審制のもつ問題点>の方がより強う浮き彫りになってます。12人いてる陪審員、そのうちのひとりがあの手この手で評決を有罪にもっていこうとしはります。事前にほかの11人の弱みをにぎらはって、恩を着せたり、恫喝したり。日本でも陪審制が検討されてますけ’ど、こないな状況になったら、日本人は正し評決できんのやろか。イギリス人かて、こないに揺れてはんのに。誘導されかけてた評決を正し方向にもどす、もうひとりの陪審員の孤独な闘いが丁寧にえがかれてます。裁判を起訴した法務総裁がテロリストに誘拐される。これはなかなかええ<つかみ>やったね。
【文春文庫】
ランキン・デイヴィス
本体 790円
2001/5
ISBN-4167527758
●課題図書一覧
「蝶のめざめ」
評価:B
よその国に向かって人権人権とさわいでいるアメリカですが、国内に目をむければお寒いかぎりです。とりわけ<つよい>とおもわれている女性が、いかに危うい立場におかれていることか。レイプの被害者が、あとあとまで心理的に苦しめられ、世の中をさけるようにして生きているようすを、広く知ってもらうために著者はミステリーの形にしたようです。アウトローのレイプ犯をヒーローとして描いてきた映画などへの批判もこめられているのかもしれません。その一方で、男たちもまた「かくあるべし」と命じる<父権>によって抑圧され、より弱いものにむかって<はけ口>をもとめているのかもしれない。そんなことを感じさせる結末でした。
【文春文庫】
ダリアン・ノース
本体 667円
2001/5
ISBN-4167527766
●課題図書一覧
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