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山田 岳の<<書評>>
文中の「’」は、関西アクセントを示すアクセント記号であります!
むかつくぜ!
【文春文庫】
室井滋
本体 476円
2001/9
ISBN-4167179040
評価:A
室井滋は魔女である(笑)。彼女の行くところ、かならず「アクシデント(笑)」(宮部みゆき)がおこり、周囲を笑いの渦へとひきこんでしまう。というのも、この魔女、まだ、みずからの術になれていないようで、アクシデント(笑)に遭遇するたびに「どっひゃあ」というリアクションをしてしまうのであった。しかも「類は友をよぶ」。魔女には同類の友がおおく、ゆえに彼女はエッセイのネタに事欠かない。そのひとり、K君は居酒屋でナンパしたB子と同棲をはじめるのだが、B子は当時すでにめずらしくなっていた学生運動をしていた。セクトは黄ヘル。B子に対してK君は言う「実は僕もやっているんだ」。セクトは青ヘル・・・。死ぬほど笑った。寂しくて居酒屋でナンパをくり返している男が、学生運動をやっていたなんて。そのうえ、敵対するセクトの女をひっかけていたという人生の皮肉に。こんなところにウケてしまう評者ってヘン?
ショッピングの女王
【文春文庫 】
中村うさぎ
本体 429円
2001/9
ISBN-4167658011
評価:A
おなじ薬物中毒でも、女性のほうが治りにくいらしい。脳神経にある快楽物質の受容器が、女性のほうが増えやすく、なかなかへらないからだとか。ためか、バブル崩壊から10年、当時のことが忘れられない女性は今でも多い。中村うさぎもまた、お金で「女王」の地位が買えると信じたバブル世代の女性。お金がなくなった今でも「女王」の夢が忘れられない。と、書いていると噴飯ものの本のように見えるかもしれないが、本書は、抱腹絶倒の笑いに満ちている。それは、「女王」を冷ややかに見つめる、もうひとりの中村うさぎがいるからに他ならない。シャネルやエルメスのブランドでかこまれたシンデレラ城が、実は青木ケ原の樹海でしかないと、もうひとりの彼女は知っているのである。それでもショッピングがやめられないのは、快楽の受容器がへらないからであり、ブランドがもたらす「神話」「夢」にのみこまれてしまうからだろう。しかし彼女、なぜか「バレンタイン・デーにはチョコレート」という「神話」には無関心。もうひとりの方が前面に出て「男には柿の種でも食わせてりゃいいんだよ」とのたまう。これはもちろん、チョコレートをもらった男の反応を知っているから。だが、ブランドを買うのは自分自身のためであり、他者の介在する余地がないだけに、本人にも始末に終えないようだ。
天使の骨
【集英社文庫】
中山可穂
本体 476円
2001/8
ISBN-4087473538
評価:A
「自分で自分を救えぬ者の前に(仏は)現れるというわけか?」(山岸凉子『日出処の天子』)劇団をうしなって生きるすべをなくした劇作家、王寺ミチルのまえには、仏さまのかわりに天使が現れる。ほとけさまが厩戸皇子を救うことがなかったように、天使はミチルを救ってはくれない。東京の踏切ではひとりだった天使だが、フランス、コート・ダ・ジュールの海岸では、隊列を組んで海にむかってすすむ。状況は、より悪くなっているということだ。ここで描かれている旅は、よくある自分探しのものではない。才能の神さまに見はなされ、自己実現の「楽園」を追放された者の、たましいの漂泊。生きる屍の放浪。そういう意味で、ミチルを救ったものがニースで見た演劇『ガラスの動物園』であり、主演女優、久美子のキスだったというのは、予定調和のキライがある(著者自身、あとがきで「たびのおわらせ方はむずかしい」と述べている)。とまれ、ある種の人にとっては、はげしく心ゆすぶられる作品。その他おおぜいにとっては、どうでもいいことかもしれないけど。いつもバタバタして、長電話につかまってばかりいる女性プロデューサー、こーゆー人、放送業界にもいるいるって、けっこう笑えた。
R.P.G.
【集英社文庫】
宮部みゆき
本体 476円
2001/8
ISBN-408747349X
評価:AA
めっちゃ、おもしろい。ひさびさのイッキ読み。ネット上の擬似「家族」、その「お父さん」が殺された。その犯人は? ってストーリーなんだけど、これ以上ふれると、ネタばれになりそう。こまった(笑)。面通しがはじまったあたりで、犯人がなんとなくわかってしまうというのは、ミステリーとしては、どんなものか。それよりも、事件を通して、現在の家族の姿があぶり出されているのが、本書の魅力といえよう。家のなかでは妻や娘と心を通わせることもなく、外で若い女を追い掛け回してばかりいるのに、会社やネット上では親切にふるまいたい、頼りにされたい「父親」が、滑稽で、やがて悲しい。タッチもかろやかで、ふだん本を読まない人でも、すらすらと読めるのではないか。でも、どこが「ロール・プレーイング・ゲーム」なのか、もうひとつ、よくわからなかった(自白を引き出す過程が、ある種のゲームではあるかもしれないが)。イントロとアウトロは枚数あわせのために書き足した、という気がちょっとした。
銀の雨
【幻冬舎文庫】
宇江佐真理
本体 571円
2001/8
ISBN-4344401352
評価:B
下手人に対して寛容な「堪忍旦那」こと為後勘八郎と、若さゆえに潔癖的なお裁きを主張する岡部主馬。このふたりを軸に話がすすむというのは、「太陽にほえろ」で何回もくり返された、ベテラン刑事VS若い刑事の構図とおなじ。真新しいものではない。それにもかかわらず、読者がひきつけられてしまうのは、何度でも「太陽にほえろ」を見てしまうのとおなじであり、その後のはなしの展開が、読者の琴線にふれるというか、ツボをおさえているというべきか。桂米朝師匠の落語のように、よどみなく流れる語り口に、ついついひきこまれてしまうのだった。
バッドラック・ムーン
【講談社文庫】
M・コナリー
本体 (上)876円(下)857円
2001/8
ISBN-406273222X
ISBN-4062732238
評価:B
日常生活は保釈中の囚人生活にも等しく、退屈きわまりない。だからか、アメリカの作家は次々ととんでもない設定やプロットを読者に提供する。そして読者は主人公のキャシーに心をよせて、法の目をかいくぐり、銃をかまえた敵のなかへと飛び込むスリルを味わう。キャシーは元囚人で保釈中でありながら、州をこえてラスベガスのホテルで盗みをはたらく。盗んだのがマフィアがらみのヤバイ金。これを取り戻そうとホテルが雇ったカーチは、キャシーのまわりの人たちを次々と殺し、ついには彼女の娘まで誘拐するとんでもない探偵。警察には頼れないキャシーはひとりカーチと対決するのだが・・・。おもしろいのだが、読んだ時期が悪かった。アメリカの同時多発テロのせいで、日常の方がスリリングになってしまったのよ。人が次々と殺される展開にも、うんざりしてしまったし・・・。
紙の迷宮
【ハヤカワ・ミステリ文庫】
ディヴィッド・リス
本体 (各)760円
2001/8
ISBN-4151728511
ISBN-415172852X
評価:B
おなじ英語をつかっていながら、イギリス人とアメリカ人では小説の書き方がまったく違う。夏目漱石と村上春樹くらいに。イギリスの作家は、情景を事細かく描写し、登場人物の心理状態をたんねんに描いていく。ふつうの人はこんなことまで考えてへんで、とツッコミのひとつも入れたくなるほど。著者のディヴィッド・リスは、アメリカ人ながら、イギリスの文体をわが物とすることに成功したようだ。ときは18世紀、ロンドンは、あたらしくはじまった株の売買に活況を呈していた。そこへおこる南海会社の株券偽造事件。調査員のウィーヴァーは、父殺しの犯人をさがすうち、金融界の一大スキャンダルにまきこまれていく。クライマックスが近づいて、著者の気がゆるんだのだろうか。描写が映像的なものにかわり、アメリカ人の(ブッシュ大統領も)大好きな<暴力による解決>へとつきすすんでいく。「なぜ逮捕状を求めなかったのだね?」という判事のことばは、書いていて、じぶんで虚しくならなかったのだろうか?
汚名
【文春文庫】
ヴィンセント・ザンドリ
本体 743円
2001/8
ISBN-4167527812
評価:A
囚人が脱走したというのに、主人公‘キーパー’・マルコーニ刑務所長のやる気のなさがいい。やる気のなさを読ませてしまう著者の力量もたいしたもの。50ページをすぎたあたりで、所長のやる気のなさは妻を亡くしたことに原因があるとわかってくる。120ページすぎで、キーパーは脱走を手助けした濡れ衣を着せられて、ブタ箱に放り込まれてしまう。保釈されたものの、201ページでは法律をやぶって州の外に出てしまう。やれやれ、アメリカでは、刑務所長までもが「身の潔白を証明するためには法律を破ってもよい」と、かたくなに信じているようだ。文中にも、「法なんか知ったことか、正義は正義なんだ」なんて言葉が出てくる。ページ数のわりに話の展開がおそいのは、キーパーのこころにフラッシュバックしてくる、71年のアッティカ刑務所での大暴動のシーンが断片的に次々と挿入されてくるため。刑務官が逆にとらえられ、捕虜として虐待されたこの事件の描写が、物語の奥行きを深めている。
凶運を語る女
【扶桑社ミステリー】
ドナルド・ジェイムズ
本体 (各)743円
2001/7
ISBN-4594032001
ISBN-459403201X
評価:A
上巻は疾走した妻を主人公コンスタンチン・ヴァジム上級捜査官がおいかけるミステリー。下巻はその妻が子どもの国際的人身売買阻止にかかわっていたために生じる謀略の数々。つまり「一粒で二度おいしい」。二転三転するプロットもいい。上巻120ページでコンスタンチン自身が容疑をかけられブタ箱に放り込まれる、『汚名』との偶然性には笑った。舞台は2017年のロシア極北の町ムルマンスク、主人公コンスタンチンは「くそいまいましい道徳的な考え方」をする人物なのに、アメリカのハードボイルド小説のように「おれが」と語り、「ちきしょう」とののしる翻訳に「それはないんじゃない?」と、違和感をおぼえた。とまれ、イギリスの作品としては、今年ナンバーワンのでき。
25時
【新潮文庫】
ディヴィッド・ベニオフ
本体 629円
2001/9
ISBN-4102225218
評価:B
最後のパーティーが終わったあと、高校の同級生だった3人が、とぼとぼと夜明けのNYを歩いていく。折からの雪で、彼らのあとには3組の足跡がのこされている。ひとりはこれから刑務所にむかわなければならない。あとのふたりは、犯罪に手を染めていく友をどうして諌められなかったのかと悔やんでいる。美しくも悲しいシーン。アメリカ人はおセンチが嫌いだ。このシーンをさりげなく描くために、著者はお膳立てとして、刑務所へむかう主人公モンティがいかにタフな男だったかとえんえんと書きつらねる。そして最後の「夢」。マーチン・スコセッシ監督にも、もしキリストが生き長らえていたらという内容の映画(タイトルは失念)があったが、発想としてはおなじであろう。
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