●担当者●宮脇書店本店 藤村結香

2021年4月8日更新

『敗北への凱旋』連城三紀彦

 読書好きの皆様に呆れられる覚悟で正直に言います。連城三紀彦作品をこれまで一度も読んだことがありませんでした。本当お恥ずかしいかぎりです。そして何気なく手に取ったこの本を読んだ今、非常に後悔しておりま... 記事を見る »
2021年3月11日更新

『眠れぬ夜はケーキを焼いて』午後

「あ、売れている」売上データを確認しているときに気になったこのタイトル。表紙の、ミルクを溶かし込んだような柔らかい色調にも惹かれたコミックエッセイ。平松洋子さんの『夜中にジャムを煮る』が好きで、ふとし... 記事を見る »
2021年2月11日更新

『私の頭が正常であったなら』山白朝子

 一度だけ山白さんにお会い出来たことがある。といっても、その時は別ペンネームの「乙一さんとして当店に来てくださったのだけど。「この人が高校の頃から読んでいた乙一さん。まるで舟越桂の彫刻みたいな綺麗さが... 記事を見る »
2021年1月14日更新

『いのちの車窓から』星野源

 この原稿を書いているのは2020年の大晦日なので、まだ私は"2021年の新春ドラマを見ていない私"です。  原稿がWeb上にあがるのは、あの社会現象にまでなった「逃げ恥」こと「逃げるは恥だが役に立つ... 記事を見る »
2020年12月10日更新

『フジモトマサル傑作集』フジモトマサル

「世界が滅びそうなのにわくわくする。」という穂村弘さんの帯コメントが秀逸すぎる。未収録も多数含む、フジモトマサルさん初となるベスト作品集です。  亡くなられてからもう5年も経つのですね。本書に収録され... 記事を見る »
2020年11月12日更新

『デッドエンドの思い出』よしもとばなな

 心の淋しさを、悲しさを、心細さを埋めたい、そんな時。特に秋に読みたくなる小説がこの「デッドエンドの思い出」です。もう10年以上私にとってこの短篇集は宝物の1つです。  沢山あるばななさん作品の中でも... 記事を見る »
2020年10月8日更新

『盤上に君はもういない』綾崎隼

 幸せだなあ、こんなにも美しい小説を読ませてもらえて、私なんて幸せなんだろう...。読み終えた後の余韻が大きすぎて、暫く眠れずに呆然としました。これだから小説を読むのは止められない。読んでいるこちらの... 記事を見る »
2020年9月10日更新

『うるはしみにくし あなたのともだち』澤村伊智

「ブス」という、たった2文字の威力を知らない人の方が少ないだろうと思う。同級生から異性から同性から年下から年上から、さまざまな人にどのような形で言われても、この2文字はどうしようもなく心の奥底に刺さっ... 記事を見る »
2020年8月13日更新

『完司さんの戦争』越智典子

 大きなシダの葉が茂る地面に潜り込むように隠れる、息をこらす。アメリカ兵の足音が、話し声がする、彼らの靴も横顔すらみえる距離。自分の心臓の音が彼らに聞こえてしまいそうなほど大きい。人生で一番長い時間だ... 記事を見る »
2020年7月9日更新

『ニッポン博物誌』矢口高雄

 実用書担当の私が唯一担当している文庫があります。山と渓谷社さんの〈ヤマケイ文庫〉。山に関するルポやエッセイが中心だけど、近年さまざまなジャンルに挑戦してらっしゃるので新刊案内が来るたびに楽しみにして... 記事を見る »
2020年6月11日更新

『まんが訳 酒呑童子絵巻』大塚英志:監修、山本忠宏:編集

 大学時代にゼミで「鳥獣戯画」の複製絵巻を使った授業を受け、その時に絵巻物の見方を教わりました。床に置いて肩幅ぐらいに広げ、左手で広げ右手で巻き取りながら常に一定幅を保って読み進めていく...すると物... 記事を見る »
2020年5月14日更新

『水に眠る』北村薫

 たぶん中学生の頃。父が薦めてくれた文庫本『空飛ぶ馬』に私は手をのばしました。云わずと知れた〈円紫さんと私〉シリーズ第1弾。高野文子さんの装画に惹かれてそれを読んだ時から、私は北村薫ファンです。ついで... 記事を見る »
宮脇書店本店 藤村結香
宮脇書店本店 藤村結香
1983年香川県丸亀市生まれ。小学生の時に佐藤さとる先生の「コロボックル物語」に出会ったのが読書人生の始まり。その頃からお世話になっていた書店でいまも勤務。書店員になって一番驚いたのは、プルーフ本の存在。本として生まれる前の作品を読ませてもらえるなんて幸せすぎると感動の日々。