1月31日(月)「オニャンコポン」と「ターミネーター」その1

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 1月の京成杯をオニャンコボンが勝った。これ、馬の名前である。

 そのレースで私は、ロジハービンという馬の単勝を買っていた。5番人気で単勝オッズは9倍。その単勝を1万円。馬連も3連複も3連単もなし。単勝一本である。9倍のオッズということは、ロジハービンが勝つと9万円の配当があるということである。

 そのロジハービン、スタートはそろっと出て、途中からゆっくりとまくり、4角では外の3番手。直線を向くと前にいる数頭を持ったままでかわして先頭に立つ。競馬を始めて四十数年になるが、これは完全に勝ちパターンだ。あとはたぶん5馬身くらいぶっちぎるだろう。こんなに強い馬がどうして5番人気なんだ。1万円じゃなくて10万くらい買えばよかった。おれの人生、大楽勝! そう思っていたら、外から1頭の馬が伸びてきた。なあに、大丈夫だ。ゴールまで200m。十分にしのげるだろう。サラブレッドは200mをだいたい12秒で走る。あっという間である。

 ところがこの12秒が長かった。後ろから来た馬がぐんぐん伸びてくるのだ。その勢いはかなりやばい。おいおい、ゴールはまだなのか。中山は直線が短いのに、こういうときにかぎって直線が長くなるのである。ダメダメ、お前は来ちゃダメ。それがオニャンコポンだった。この馬に私の本命馬はあっという間に差し切られてしまった。結局、私のロジハービンはコンマ2秒差の2着。9万円の配当は幻となってしまった。

 翌日のネットを見ると、「オニャンコポンが来た!」と大盛り上がり。珍名かと思っていたのだが(競走馬には珍名が少なくない)、「進撃の巨人」に出てくるキャラクターだという。そもそもの意味は、アカン語で「偉大な者」ということらしい。

 アカン語ってなんだ、と思ったら、西アフリカ、ガーナで話される言語の一つで、ガーナ東部のアシャンティ州を中心にした人々に使われ、多言語国家ガーナの共通語にもなっているようだ。

 ちょっと待ってくれ。アシャンティ? えっ、アシャンティって地名だったのか。いや、1670年から1902年まで、現在のガーナ内陸部にあった王国の名前だというのだ。奴隷貿易によって繁栄したが、イギリスによって滅ぼされたという。そうか、それですべてが繋がった。

 というのは、「アシャンティ」という映画が1979年に公開されているのだ。不入りのためにすぐに打ち切られてしまったので、この映画を記憶している人は少ないだろう。もう40年以上昔のことだし。私がなぜ覚えているかというと、この原作がスペインのA・バスケイス・フィゲロウアだったからである。

 映画が公開されるというので、フィゲロウア『アシャンティ』が翻訳されたのが1979年。40年以上前のことなので、細部までは覚えていない。アシャンティが地名であり、そこに住んでいた民族の名であることは、フィゲロウアの小説に書かれていたのかもしれない。それを私が忘れていただけなのかも。

 オニャンコポンとともに、映画と小説の「アシャンティ」がぐんぐん蘇ってくる。

 話が長くなりそうなので、続きは次回だ。

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