第7回 『アド街』に見る湯のたしなみ ~由美かおるさんの艶技によせて~の巻
『アド街』の銭湯ランキングから思うこと
8月29日の『出没!アド街ック天国』(テレビ東京系 以下、『アド街』)のテーマは、【東京23区!銭湯でととのう街】だった。
昨今のサウナブーム以来「ととのう」が当たり前のように使われるようになった。それを否定する昔からの銭湯マニアはいる。私はサウナーではないが、表現としては悪くはない。すこし調子の悪かった心身が、湯上がりにはスンっと元通りになる感覚は一度や二度ではない。
番組では勝手知ったるあの銭湯やこの銭湯、おまけに知人が次から次へと現れ、「常連客」として知己(ちき)のイラストレーターが出てきたときには、飲んでいたハイボールを噴き出した。この番組には、ランキングをカウントダウンするという固定フォーマットがあり、今回の10位から1位までの街と、紹介された銭湯は以下の通り。
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10位 |
大田区・羽田......重乃湯(1968-) |
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9位 |
豊島区・椎名町......五色湯(1952-) |
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8位 |
台東区・鶯谷......ひだまりの泉 萩の湯(1949-) |
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7位 |
墨田区・錦糸町......黄金湯(1932-) |
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6位 |
台東区/荒川区・三ノ輪......湯どんぶり栄湯(1945-) |
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5位 |
墨田区・押上......押上温泉 大黒湯(1949-)、薬師湯(1953-) |
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4位 |
杉並区・高円寺......小杉湯(1933-) |
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3位 |
荒川区・三河島......雲翠泉(1958-)、帝国湯(1916-) |
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2位 |
大田区......明神湯(1957-)、蒲田温泉(1937-) |
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1位 |
足立区・北千住......金の湯(1927-)、タカラ湯(1927-) |
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いい銭湯といいお店(特に飲み屋)があるというのがポイントらしいが、自分の暮らしの根を下ろす街が1位に選ばれるのは正直嬉しい。個人的には赤羽が入らなかったのは意外。
さて、『アド街』は1995年4月からかれこれ30年以上も放送される人気番組だが、初期から楽しく視聴している。通常放送は、その回に取り上げられた街に関するご当地要素・ネタのランキングを発表するのだが、高確率で銭湯がランクインする。最近の放送は、基本的には地元の常連さんの入浴をそのまま映しているようだ。親子で来られているのは微笑ましいし、銭湯に未来を感じる。
初期の入浴シーンには「お風呂女優」を使うことがお決まりだった。「お風呂女優」は正式な名称ではないだろうが、TVなどの入浴シーン専門に出演されている色っぽい女性で、計算された手の動き、目線の動きなど、さすがプロの技である。
比較して申し訳ないが、古谷一行さんと木の実ナナさんが主演のテレビ朝日系で放送されていた『混浴露天風呂連続殺人』シリーズで、「温泉ギャルズ」として毎回AV女優数名が登場してあっけらかんと胸をさらけ出し、棒読みの台詞を吐くのとは、やはり雲泥の差がある。......真剣に見るけどね。
『アド街』に限らずメディアで銭湯を取り上げることが増えてきたと思う。それはそれで嬉しいことだ。だが、初めて銭湯に来たと思われるような若いタレントが、水着を付けているであろう上にタオルを巻いて湯に浸かる映像の下に「撮影のためにタオルを使用しています」などという小さなテロップを見つけるとげんなりする。まず初めに身体を洗う、タオルは湯船に入れない。温泉旅館のレポートならばまあ仕方ないが、町中(まちなか)の銭湯では正しい入り方を啓蒙していただきたい。
入浴シーンといえばやっぱり由美かおるさん
入浴シーンと言えば、TV時代劇「水戸黄門」(TBS系)でくノ一「かげろうお銀」、(のちに「疾風のお娟(はやてのおえん)」)を演じる由美かおるさんの艶技に及ぶものはない。1986年から2010年にかけて200回以上の入浴シーンを演じたと言われている。

番組の始まりから10~30分にもっとも入浴シーンが放送されることが多く、世のお父さん、お爺さん方は目が離せなかった。寝たきりだった爺様が、入浴シーンの時にむっくり起き上がったという都市伝説さえまことしやかに伝えられている程だ。
彼女の素晴らしさは、自分がこのシーンで何を求められているかを十分理解し、200回を超えてもマンネリにならないように新鮮さと緊張感を常に生み出しながら、最高の「艶技」を魅せてくれたことにある。

ここで私と由美かおるさんとの衝撃的出会いを話しておくと、それは高校三年の時であった。
私の通っていた神奈川県の県立高校では年に一度、体育館で開催する映画会があった。上演する演目は名画リストの中から生徒の投票で決めていた。そのリストの中に由美かおるさんと仲雅美さん主演の「同棲時代 -今日子と次郎-」(1973年、松竹 以下、「同棲時代」)があり、投票は予想通り集中した(私は宝田明さん主演「モスラ対ゴジラ」(1964年 東宝)に投じたのだが)。
そして、学校の体育館で全校生徒が「同棲時代」を観た。大らかな時代と言っていいのか......。
ちなみに前年は「青春の蹉跌」(1974年、東宝)で、ショーケンこと萩原健一さんと桃井かおりさんの、これまた濃密な濡れ場満載の映画だった。どんな高校だよ。
とにかく「同棲時代」の由美かおるさんは鮮烈に覚えている。西野バレエ団で鍛えたその弾けるような肢体、そして豊満で形の良い胸。内容はあまり覚えていない。
この映画が公開された頃、由美さんが長いスリットの赤いドレスで太ももをギリギリまで露(あら)わにして「炎の女」という激しい歌を歌われていたのも印象的だった。
その後、都内の大学に進学した私は、大学の西門を出たところを一人で歩く由美かおるさんに遭遇した。とても小柄な印象で、「トランジスタ・グラマー」(死語)という表現がぴったりだった。
最近はあまり見かけなくなったが、アース製薬のホーロー看板に由美さんを見ることがある。数十年錆びることなく見事な脚線を魅せてくれている。


由美かおるさんが好き、由美かおるフォーエバー!
