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2012年2月 はんぺん雪踏み号 No.344

 喜寿、米寿は当たり前、百歳だって珍しくない時代だからこそ、いつまで読書を愉しみたい! とはいえ、老後に読もうと大事にしまっておいた本は、気がついたら字が小さくて読みづらいし、こらえ性がなくなっちゃうものだから、シリーズものの完読だって怪しくなる(らしい)。では、どうすれば百歳まで本を愉しめるのか。というわけで、本の雑誌2月号の特集は「百歳までの新読書術!」。津野海太郎の古稀の主張から、赤瀬川原平が明かす老人力読書の正しい方法、かっこいい老眼鏡のススメに老眼に読みやすい文庫調査、百歳までの読書リストに古今東西の老人探偵ガイド、そしておじさん三人組が軽費老人ホームに乗り込む、本好き高齢者三人インタビューまで、超熟パワーが炸裂する24ページ! おっと、忘れちゃいけない、読者アンケート「老後に読む本」もあるぞの超特集だ。さあ、百歳と言わず、最高齢読者を目指して読み続けよう!

 新刊めったくたガイドは杉江松恋が情念渦巻くハイチを描く迫力のデビュー作に感嘆すれば、鴻巣友季子は闇と狂気を孕んだ短編集、角田光代『かなたの子』をイチオシ。大森望が前人未踏の非日常SF『都市と都市』に五つ星を打てば、酒井貞道は正統派パズラー『キングを探せ』で本格的な謎解きを堪能。榎本文昌が常識に挑む連作短篇、福永信『一一一一一』に生と死の間を読めば、内田剛は帝都地図に隠された森鷗外の暗号に震撼!? そして北上次郎は『週末は家族』を桂望実の傑作だ、家族小説の傑作だ。と傑作Wで絶賛。さあ、今年もわしわし読んでくれぃ!

 今月は「本屋大賞で買った本」で東川篤哉が登場! 副賞の10万円分の図書カードで買った本を一挙公開するぞ。さらに僧職系男子の本棚を明かす蝉丸P、めしと活字の悩ましい世迷言を並べる遠藤哲夫の二人も待望の初登場。そして乙女派書店員・高頭佐和子が憧れの専門職雑誌を読み比べたかと思えば、佐久間文子は梨木香歩の「ひっそりと連環する」10冊を紹介。宮田珠己のブックス・墨瓦蝋泥加が、なんと最終回!なら、またまた現れたおじさん三人組の文壇バー・ハシゴツアーもいよいよ佳境。引率の坪内先生が読書日記で伊藤新吉の真相に迫れば、内澤旬子は糞尿と決戦。さらば紅白、ゆく年くる年もどーんとこい! 「本の雑誌」2月号は、おとそ気分で庭かけ回る、あけましておめでとう号なのだあ!

目次

今月の一冊

吉野朔実劇場/天才は何を読んでいたのか 吉野朔実
ブックス・墨瓦蝋泥加/紹介できなかった本ベスト10(後編)  宮田珠己
本屋大賞で買った本/本格の巨匠からカルト神まで  東川篤哉
黒豚革の手帖/糞尿との戦い  内澤旬子

特集:百歳までの新読書術!

老人読書はけっこう過激なのだ 津野海太郎 
赤瀬川原平突撃インタビュー/雑誌は三枚に下ろして読むべし!
老眼との遭遇 吉田伸子 
実験報告/六十八歳の目に優しい文庫を探せ! 杉江良弘 
百歳までの読書リスト 田口久美子 
古今東西老人探偵が行く! 大矢博子 
おじさん三人組、松風園に行く!
読者アンケート/老後に読む本 

活字に溺れる者/色川武大の編集者小説  荻原魚雷
僧職系男子の本棚  蝉丸P
トヨザキ社長の「寄らば斬る!」/ホラーでホーリーな恋愛小説 豊﨑由美
めしと活字の悩ましい世迷言  遠藤哲夫
専門職雑誌7誌読み比べ/「Jレスキュー」にドキドキ! 高頭佐和子

新刊めったくたガイド

情念渦巻くハイチを描く迫力のデビュー作  杉江松恋 
闇と狂気を孕んだ短編集 角田光代『かなたの子』  鴻巣友季子 
前人未踏の非日常SF『都市と都市』に五つ星だ!  大森望 
幽霊探偵の切ないミステリー『煙とサクランボ』  酒井貞道 
常識に挑む連作短篇 福永信『一一一一一』  榎本文昌 
帝都地図に隠された鴎外の暗号!?  内田剛 
桂望実の傑作家族小説をおすすめだ!  北上次郎 

『パーフェクト・ハンター』は英国版『ゴルゴ13』だ!?  穂井田直美 
出版社は潰れてはいけない(続)  大井潤太郎 
年賀状は「虚礼」じゃないぞ!  渡邊十絲子 
創元SF短編賞アンソロジー第二弾刊行!  山岸真 
メキシコ・シティの本屋さん 浅生ハルミン 
無料で手に入るアホアホ本 中嶋大介 
電話で告げられた「あびこたけまる」 新保信長 
オビミシュラン   M・オビスピエール 

坪内祐三の読書日記/織田正信訳『オーランド』を結ぶ線  坪内祐三
世界の街で本屋めぐり  鏡明
南の話/歩くこと──へモンの場合  青山南
新刊クロスレビュー 山崎 望・和田 孟・鈴木先輩・浜本 茂 
ベストセラー温故知新/ミレニアムの自分探し本?  入江敦彦
ウーのくすぐり芸  円城 塔
長城をめぐる時空を超えた大冒険  風野春樹
一度も会えなかった祖父の日記  池澤春菜
リジー・ボーデン事件百周年シンポジウム  柳下毅一郎
おじさん三人組、ツボちゃんと文壇バーに行く!(その③) 
今月書いた人 
今月本の雑誌に遊びに来た人 
掲載図書索引 

続・棒パン日常/師事  穂村弘
三角窓口/六十年前が甦るヘッセの小説が知りたい! 他
ミミ中野の「これいただくわ」  ミミ中野

新・キムラ弁護士のありふれない一日/「鉢の木」にて  木村晋介
歩く旅/黄河中流域の旅  沢野ひとし
梨木香歩の10冊/ひっそりと連環する物語  佐久間文子
後記 

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