作家の読書道 第229回:蛭田亜紗子さん

2008年に第7回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞を受賞、10年に『自縄自縛の私』(受賞作「自縄自縛の二乗」を改題)を刊行してデビューした蛭田亜紗子さん。現代人の日常を描く一方で、『凜』では大正期、開拓時代の北海道を舞台に過酷な環境を生きる男女を描き、最新作『共謀小説家』では明治期に小説執筆にのめりこんだある夫婦の話を描くなど、幅広い作風で活躍中。では蛭田さんが親しんできた作品とは? リモートでたっぷりおうかがいしました。

その1「動物が出てくる本が好きだった」 (1/7)

  • からすのパンやさん (かこさとしおはなしのほん (7))
  • 『からすのパンやさん (かこさとしおはなしのほん (7))』
    加古 里子
    偕成社
    1,100円(税込)
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  • 14ひきのひっこし (14ひきのシリーズ)
  • 『14ひきのひっこし (14ひきのシリーズ)』
    いわむら かずお
    童心社
    1,320円(税込)
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  • ながいながいペンギンの話 (新・名作の愛蔵版)
  • 『ながいながいペンギンの話 (新・名作の愛蔵版)』
    いぬい とみこ,山田 三郎
    理論社
    1,320円(税込)
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  • 若草物語 (新潮文庫)
  • 『若草物語 (新潮文庫)』
    ルイザ・メイ・オルコット,Louisa May Alcott,松本 恵子
    新潮社
    781円(税込)
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――いちばん古い読書の記憶を教えてください。

蛭田:幼稚園に入る前から絵本は好きで読んでいました。読み聞かせてもらいましたし、自分で読めなくても絵を眺めていた記憶があります。百科事典のように巻数が多くて箱に入った「スキャリーおじさんのどうぶつえほん」というシリーズがあったんですよね。ローリーという名前のミミズが主人公のお話などがありました。あとは、「チャイクロ」という知育絵本のシリーズ。数字の話や色の話や工作の話がありました。

――本を読むのが好きな子供でしたか。

蛭田:はい。幼稚園の頃は図書館で毎週、「バーバパパ」のシリーズでローテーションを組んで、同じ本を何度も借りていました。かこさとしさんの『からすのパンやさん』やねずみたちが主人公の「14ひき」シリーズの『14ひきのひっこし』や、『だれのおうちかな?』という、建築家のねずみがいろんな動物の家を作るという絵本も、絵が緻密で好きでした。『だれのおうちかな?』も「14ひき」シリーズもねずみの暮らしが丁寧に描かれているんですよね。ずっと眺めていられるような、細かい絵の絵本が好きでした。

――どちらかといえばインドアだったのでしょうか。

蛭田:親に「外に遊びに行きなさい」と言われて表に出ても、蟻の巣をずっと眺めていたりして。できるだけ家にいたい子供でした。

――小学校に入ってからの読書生活は。

蛭田:1年生の時に、絵本ではなく文字の多い本として読んだのがいぬいとみこさんの『ながいながいペンギンの話』でした。100ページ以上あるので、1年生の自分としては「こんなに読めた」と誇らしい気持ちになったのを憶えています。ペンギンの兄弟が成長していく話で、実際のコウテイペンギンの生育の話になっているんですよね。低学年の頃は他に『若草物語』も読みました。ちょうどアニメの「世界名作劇場」で放送されていたんです。「こまったさん」シリーズも好きでしたし、「シートン動物記」もよく読んでいました。こうしてみると、動物の話が多いですね(笑)。
 中学年くらいになると、「ズッコケ三人組」のシリーズなどもよく読みました。シャーロック・ホームズやルパンのシリーズも読みましたが、ホームズはピンとこなくて、ルパン派でした。当時はホームズの謎解きの部分にあまり面白みを感じず、ルパンの人間的魅力のほうが面白かったんです。今読めばホームズもワトソンも人間的な魅力があると分かるんですが、小学生が読んでもあまりピンとこなかったようです。
 4年生の時だったか5年生の時だったか、学校の図書室で『ルパン対ホームズ』を借りたんですが、返さずに延滞してしまって。卒業式の日にやっと返したんですが、その日までずーっと罪悪感があって、気に病んでました。あれは人生最初の大きな悩みでした。

――一度返しそびれると、申し訳なくてかえって返しづらくなるということはありそうですね。

蛭田:そうですね。それまで"いい子ちゃん"だったので、いけないことをしてしまってどうしよう、という気持ちで。2年間くらい、ほぼ毎日気になっていました。卒業式の日に返したら先生は笑っていましたけれど。

――ちゃんと返しに行ったんだから偉いですよ。他に、漫画やアニメなどは好きでしたか。

蛭田:私は「りぼん」派でした。岡田あーみんさんの『こいつら100%伝説』とか『ルナティック雑技団』とか。谷川史子さんの、素朴で叙情的な絵の少女漫画も好きでしたね。
 テレビは、バラエティ番組は家で禁止されていたんです。観てもいいのは先ほども言ったアニメの「世界名作劇場」とか、あとはクイズ番組とか。当時「わくわく動物ランド」という番組があって、それは好きでした。

――やっぱり動物が好きなんですね。ご自宅でも何か飼っていましたか。

蛭田:小学生の頃に猫やサンショウウオを飼っていました。同じ敷地内に祖父母の家があって、そこにはビーグル犬がいました。

――ごきょうだいは。本の貸し借りなどされたのかな、と。

蛭田:ふたつ下の妹とは漫画を共有していましたね。弟は七つ下なのであまりそういうことはしませんでした。

  • ルパン対ホームズ (岩波少年文庫 (526))
  • 『ルパン対ホームズ (岩波少年文庫 (526))』
    モーリス・ルブラン,晃三, 榊原
    岩波書店
    924円(税込)
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  • こいつら100%伝説 1 (りぼんマスコットコミックス)
  • 『こいつら100%伝説 1 (りぼんマスコットコミックス)』
    岡田 あ~みん
    集英社
    484円(税込)
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  • 新装版 ルナティック雑技団 1 (りぼんマスコットコミックス)
  • 『新装版 ルナティック雑技団 1 (りぼんマスコットコミックス)』
    岡田 あ~みん
    集英社
    660円(税込)
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プロフィール

1979年北海道札幌市生まれ、在住。
2008年第7回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。10年、『自縄自縛の私』(受賞作「自縄自縛の二乗」を改題)を刊行し、デビュー。著書に『フィッターXの異常な愛情』『凜』『エンディングドレス』『共謀小説家』などがある。