●担当者●リブロ池袋本店 幸恵子

2013年4月25日更新

『記号の国』ロラン・バルト

『記号の国』は、かの著名な『表徴の帝国』の新訳である(新訳は2004年の刊行、旧訳から数えれば30年振りになるらしい)。この書物には、バルトの経験したさまざまな日本が登場する。その中には、わたしたちに... 記事を見る »
2013年3月27日更新

『とげ抜き新巣鴨地蔵縁起』伊藤比呂美

 生まれてこのかた、四十を超えました。  世間さまでは、子どもの頃は見るもの聞くものすべてが新しく...などと申すことがあるようですが、子どもだからすべてが新しく感じるなんてのは、甚だ疑わしいものです... 記事を見る »
2013年2月28日更新

『夕鶴』木下順二

 誰でも知っている話というものがある。 「桃太郎」や「舌切り雀」「カチカチ山」「ウサギとカメ」「八岐大蛇」など、昔話や民話、神話と呼ばれるものには、詳細はわからなくとも名前は知っているというものが多い... 記事を見る »
2013年1月24日更新

『ことり』小川洋子

 一冊の本がある。  ページをめくる。そこには、わたしがまだ出会ったことのない何かが書かれている。そして、時に本は、そこに記された文章には書かれていない何かを、わたしに気付かせてくることがある。記され... 記事を見る »
2012年12月28日更新

『BRUTUS 2012年12/15号』

 年の瀬である。本屋の周辺でいえば、各種ベスト本の発表など年末年始に本を読みたくなるような企画で賑わう季節でもある。各紙誌でも様々な本の特集が組まれ、その一端を担う。そんな中、年末に恒例の本特集を組む... 記事を見る »
2012年11月22日更新

『スピンク合財帖』町田康

「他の人と共有していない笑い」というものは不気味なものである。  街角で、ひとりでクスクス笑っている人や、誰に対するでもなく大声で笑っている人を見かけ、「なにやら怪しい人だ」と、思わず身を退いた経験を... 記事を見る »
2012年10月25日更新

『佐渡の三人』長嶋有

 芥川賞作家にして大江健三郎作家、長嶋有の最新刊、連作長編小説である。  表紙には、アラーキーこと荒木経惟による入魂(したのかどうかはわからないけれど)の筆が踊っている。装幀は名久井直子。  文章は自... 記事を見る »
2012年9月27日更新

『ピダハン 』ダニエル・L・エヴェレット

 すでにいくつもの紙誌で紹介され、話題になっている『ピダハン』。「本の雑誌」本誌でも紹介されていた。  本書は、言語学者でありキリスト教の伝道師でもある著者が、聖書の翻訳のためにアマゾンに住む少数民族... 記事を見る »
2012年8月23日更新

『そこに僕らは居合わせた』グードルン・パウゼヴァング

 作者のパウゼヴァングは児童文学作家。本書は、彼女が実際に聞いた、あるいは実際に体験したエピソードを元に書かれた短編集である。  ナチスの思想が浸透し、人々がそれに否応なしに呑み込まれていった時代。市... 記事を見る »
2012年7月27日更新

『性悪猫』やまだ紫

 先日、もうすぐ店を辞めるというアルバイトスタッフに「おすすめの本を教えてください」と訊かれた。本屋で働いているとよく受ける質問のひとつであるのだか、今回訊かれたのは、「是非とも紹介したい本」というの... 記事を見る »
2012年6月28日更新

『逃避めし』吉田戦車

 文章を書くのが苦手である。  お題が決まってしまえば何とかなるのであるが、決まるまでが難しい。しかも切羽詰まっている状態にならないと腰があがらないという厄介な性格でもある。今も、この「横町カフェ」の... 記事を見る »
2012年5月24日更新

『GENGA - OTOMO KATSUHIRO ORIGINAL PICTURES』大友克洋原画展 実行委員会

 その人の名前を意識したのはいつの頃であったろうか。そのあたりのことは、記憶の捏造という脳の働きもあり何とも判然としないのであるが、中学校の教室では『童夢』や「少年マガジン」は回し読みされ、その人、大... 記事を見る »
リブロ池袋本店 幸恵子
リブロ池袋本店 幸恵子
大学を卒業してから、大学の研究補助、雑貨販売、珈琲豆焙煎人、演劇関係の事務局アシスタントなど、脈略なく職を転々としていた私ですが、本屋だけは長く続いています。昨年、12年半勤務していた渋谷を離れ、現在は池袋の大型店の人文書担当。普段はぼーっとしていますが、自由であることの不自由さについて考えたりもしています。人生のモットーはいつでもユーモアを忘れずに。文系のハートをもった理系好きです。