第7回 特別編 座談会 焼酎割り飲料は東京のローカル文化だ!〈後編〉

6.画期的だったガラナ開発

Q)ガラナ飲料は戦前に、今のカルピスKKが試みたと資料で見ました。

阿)あったかもしれません。

寺)ガラナを先人がやった時代には、機械がついていけませんでした。果汁をはじめて入れたのはガラナでしょう。

神)使ったのはね。

寺)装置がまだ確立されていない段階で作ったから、すぐダメになってしまいました。パストライザー(滅菌装置)なんて無い時代です。

久)りんご果汁ですか?

寺)リンゴです。それで、坂本香料(本連載第二回登場)が合成原料を開発して、できたのがコアップガラナ。ガラナのエキス(エキストラクト=成分抽出)を原料にしたのです。

神)エキスですから腐敗しません。問題は、味付けに何を使うか。そこで、りんご果汁を使いました。

寺)味付けのために入れたりんご果汁を殺菌する設備が、当時は無かったんです。

神)温度を上げて、沸かしたお湯でね。

Q)ビンに詰めたあと、沸騰水で殺菌していたという話は聞いたことがあります。

寺)データも何もない状態でしたから、当時は、それを企業秘密にしていたんです。

神)だいたい、昔は炭酸飲料を殺菌するなんて知識はありません。

阿)炭酸飲料はガス圧があるから菌が育たない、といわれた(笑)。

神)ある程度は大丈夫です。しかし果汁にはもとから菌が繁殖しているので、炭酸の力だけでは抑えられません。酵母菌というのは本来、炭酸ガスを作る菌ですから、炭酸ガスにその繁殖を止める力は無いのです。

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