第7回 特別編 座談会 焼酎割り飲料は東京のローカル文化だ!〈後編〉

7.果汁が入ったのは進駐軍のバヤリース以降

Q)保存料は法律上入れられなかったのですか?

神)サイダー製造に使うのは、フレーバーと、酸と、砂糖(甘味)だけですから必要ありませんでした。

寺)原価が高いので、果汁を入れるメーカーはなかったんです。

神)果汁を入れるようになったのは戦後しばらく経ってからです。アメリカのバヤリースが来てはじめて、果汁入りのジュースになりました。

Q)食品衛生法で認められたのですね。

阿)それまでは、果汁に由来する濁りがダメでしたから。

寺)商品は透明でないといけなくて、混濁そのものが認められない。

神)全部透明で、しかもガラスびんでちゃんと中が見えないといけない。けれども、戦後になって、原料に起因する混濁は当然のこととして、認められるようになりました。バヤリース、つまりアメリカに合わせたから。

寺)敗戦国は弱いですよ。

神)それで、進駐軍が持って来たバヤリースのビン(の無断使用)でジュースをたくさん作りました。

寺)バヤリースのビンを無断で再利用して「みかん水」を作ったものです。

神)みんな(模造ジュースを)作ったから、よく、捕まっちゃって怒られてねえ、なんて話が出たものです(笑)。

Q)バヤリース類似品がたくさん出たらしいですね。

寺)昭和30年代に、多数発売されていました。

阿)作って一晩置くと、(溶けていたはずの着色料が落ちて沈殿し)透明になっちゃうようなもの(笑)。

寺)品質的に完璧でなくても、作ってしまったんですね。

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