第7回 特別編 座談会 焼酎割り飲料は東京のローカル文化だ!〈後編〉

10.中小メーカーを生き残らせた、ミキサードリンクの力

阿)最近では、サワー類の種類がかなり増えてしまいました。昔は数種類の商品展開で充分だったのが、今はものすごく種類を増やさないと、商売になりません。ちょっとやりにくいところです。

阿)消費者のニーズが非常に多様化し、売れないとすぐに新しいもの、さらに次の新しいものを出さなきゃいけない、そういうことをやりすぎた部分があります。

神)大手は、かつては大量生産品を長く売っていましたが、今では、商品寿命がどんどん短くなっています。

Q)今は大手こそ細分化されたマーケットの、寿命の短い製品づくりに血道を上げていますから、本当に競争が激しいですね。一方でホッピーさん、博水社さんのハイサワー、天羽飲料さんや神田食品さんのハイボールの素など、大手以外に超ロングセラー商品がいくつもあるのはすごいと思います。

阿)飲料業界でも、焼酎割り飲料というのは、たとえばラムネや、シャンメリーなどと並ぶカテゴリーとして、ミキサードリンク協会ができるくらいに、ある程度の認知を受けています。もっとも、ミキサー飲料は、割る焼酎が甲類ですから、ほとんどが関東のメーカー。麦などの乙類焼酎に割り材を入れたらもったいない。西の方に広がらない理由は、そのへんにあるでしょう。

Q)ホッピー割りも東京の地酒といわれるくらい、地域性のあるものでした。割り材、ミキサードリンクもそうですね。
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阿)東京・下町の庶民文化の中から生まれたものです。これだけたくさん、大手居酒屋のチェーンができる中で、サワー類がすたれないで飲み続けられているということは、割り材はひとつの大きな(文化をつくった)流れだと思います。大体、焼酎を割って飲むのは、昔は労働者だったけど、今ではファッションですから。若い女性が焼酎を飲むなんて、以前は考えられませんでした。

Q)まさに東京発のローカル文化として、焼酎を割る清涼飲料は、長年にわたって中小メーカーの経営を支えてきたといえるわけですね。本日は、貴重なお時間をいただきまして、まことにありがとうございました。

於・東京清飲会館(後楽園)



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