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5月30日(木)

 気のせいかもしれないが、都内に外国人が増えているような気がする。先日も横浜へ向かう際、京浜東北線でアルゼンチンサポーターと隣り合わせで座った。彼らは二人組で、かたやスキンヘッド、かたやサングラス、そしてふたりともアルゼンチン代表のユニを着込んでいた。一見強面に見えるが、まあ、その程度なら駒場にもいるしと片言の英語…ではなく、固有名詞だけで会話を試みる。

「アルゼンチーナ?」
「○?×△◆!」(そうだ!とたぶん言っている)
「シメオネ、ベロン?」
「!◆&”#$&○?×△◆!」(おお、知っているのかアミーゴ。オレはこんな遠くまで来て知っている奴に会えてうれしいぜ…とたぶん言っている)
 調子に乗って僕は固有名詞を連発!
「クラウディオ・ロペス、オルテガ、マラドーナラ」
「$&○?×△◆!!◆&”#」(お前は最高の日本人だ。仕事中でなければ一杯奢りたい気分だぜ…とたぶん言っている)

 そしてここでアルゼンチンファンなら誰もが気になっている核心の質問を浴びせてみた。
「バティorクレスポ?」
「!◆&”#$&○?×△◆!!◆&”#$&○?×△◆!”◆&”#$&○?×△◆!」(オレは決定力のあるバティが好きなんだが、こいつはクレスポのファンなんだ。出来れば二人の強力ツートップを見たいけど、あの監督はそんなことをしないだろう。まあ、どっちが出たって優勝だぜ…と言っているはず)

 噛み合っているのか、噛み合っていないのか、たぶん一番わかっていなかったのは本人達だろう。とにかく、最後だけは文法に則り、しっかりとした言葉を伝えようと中学校の英語の教科書を必死に思い出す。

「ユー…、ウィル…、ビー、チャンピオン」

 二人はがっしりと握手を求めてきたので、まあ伝わったのだろうと一安心。しかしコイツら、信じられないことに横浜まで行かず、東神奈川で下車するではないか。ひとり残された僕は、周りの乗客に冷たい視線を投げつけられてしまったではないか。

 おまけに会社に戻ってこの出来事を話したら、編集の金子が鋭い一言。
「スギエッチさぁ…。アルゼンチンは英語じゃなくて、スペイン語じゃないの?」

 ああ。何をやっているんだか。