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6月4日(火)

 僕の家は、武蔵野線東浦和駅というところにあるのだが、ここはW杯が開催されている埼玉スタジアムへ向かうバスの発着場になっている。

 今朝、会社に向かうためその駅に着くと、日本代表のユニフォームを着込んだ幸せ満点生観戦者がすでにうろついているではないか。彼ら彼女らは、まだバスが出ていない時間帯のため、颯爽とタクシーへ乗り込んでいく。僕は、他の通勤者同様、自動改札へ飲み込まれていく。まさに天国と地獄の分かれ目だ。こんな悲劇がこの世にあっていいのか? 夜になればまた僕の家の上空をヘリコプターが飛来するというのにだ。

 本日、いつもより一段と早く出社したのには理由があって、最後の望みネットでの当日券購入を試みるためだ。事務の浜田にも業務命令として「午前中は仕事をするな! FIFAへのアクセスを試みろ!」と伝えた。

 ちなみに僕の住んでいる場所から約100メートルほど行ったところに国道が通っている。その国道は浦和のホテルに泊まった日本代表メンバーが、埼玉スタジアムに向かうために通る道である。昨夕、我がサッカーにまったく興味のない妻と娘は、買い物に行った際、たまたまそのバスを目撃し、トルシエに手を振ったと報告を受けた。どうして僕はこんなにサッカーを愛しているのに、幸運の女神に出会えないのであろうかと、昨夜は徹夜でネットと格闘しながら深酒をしたのであった。


 午前11時35分。ついにFIFAのHPに繋がる。そしてあのテレビで紹介されていた日本と韓国の地図が目の前に現れるではないか。

「浜田よ。お前は良くやった。しっかり昇給するよう社長に直談判してやろう」と入社以来最高の賛辞を言い渡す。

 しかし。日本代表対ベルギー代表のチケットを示す部分で黄色いボタンがチカチカしているではないか。

「浜田よ、黄色はなんぞや?」
「杉江さん……。入手不可のランプだそうです……。」

 深いため息とともに、本日の営業部の業務は自主的に終了。サヨナラ。