WEB本の雑誌

3月3日(木)

 チームメイトの森川に会ったら「試合で活躍できないと日記を更新しないのか」とムカツクことを言われる。

 そうではなくてな、森川よ。お前はたぶん知らないだろうが「本屋大賞」っていう書店員さんが投票で決める文学賞を去年から始めてな、その二次投票っていうのが今週締め切りになっていたんだよ。それで、オレはお手伝いしているから集計に大わらわなんだよ。

 それにオレには普通の仕事もあってだな、一押しの新刊『純情ぴかれすく』の事前営業が佳境であっちこっちジグザグ営業しなきゃならんし、すっかり忘れていた結婚記念日も迎えるし、もちろんJリーグの開幕もすぐそこ出しで、発狂寸前なんだなこれが。

 身体はいくつあっても足らない状況なのに、心がいくつあっても溢れかえってしまうほど腹立つことがいっぱいあって、毎日毎日「我慢、我慢」なんて呟いているんだよ。ハァ。

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 かなりすさんだ気分を抱えつつ書店さんを廻っていたら、新宿のK書店Hさんに「もう読みましたか?」と聞かれたのが『さくら』西加奈子著(小学館)だ。買っていたけどまだ読んでいない積読状態だということを告げると「早く読んで!! すんごい良いから!!」と大プッシュされる。Hさんとは『バッテリー』仲間なのですぐ読むことを約束する。

 翌日、横浜を営業し、M書店のYさんに最近の面白本の話を振ると、やはり『さくら』が挙がるではないか。「前作はちょっと物足りないところがあったけど、『さくら』で完全にプレイクしたね、あざとく泣かせようっていうんじゃなくて、気付いたら涙がポロポロ流れて止まらなくなっちゃうような自然さが良いのよ」。何だか新聞広告みたい…だけれど、マジらしい。

 そういえば半月ほど前、大阪のK書店Kさんから手紙を頂き、そこにもゲラで読んだ『さくら』がめっちゃよかったと書かれていたし、とある書店さんでは「小学館だと思ってなめていたら痛い目にあうよ」と訳のわからない薦められ方をし、ちょっとこの頻度は尋常ではないと、あわててカバンの中に入れてあった『さくら』を読み出した。

 そして現在96ページ。もう集計も事前営業も知ったこっちゃない。サボり決定だぁ!!

 ここまで読んだだけでも断言できるが、これは間違いなく傑作で、広告どおり今年のベスト1かもしれない。しかも何なんだ、この小説は。何だかものすごく誰かに「良いんだよ!!!」って伝えたくなるではないか。すでに友人5人にメールを送ってしまった。

 森川よ、君も買って読みなさい! 買うんだぞ、借りるんじゃなくて!!!