WEB本の雑誌

5月10日(火)


 GWボケのリハビリもなく、バリバリ営業スイッチオン!

 まずは直納を3軒。地元笹塚・紀伊國屋書店さんへ『笹塚日記 うたた寝篇』を、神保町・書泉グランデさんに『千利休』を、そして御茶ノ水・茗渓堂さんには本日出来上がったばかりの『本の雑誌』6月号を納品する。直納は重くて大変だけど、売れている実感がもてて、本当に楽しい。

 そんななか書泉グランデさんで、顔見知りの営業マンとすれ違い、思わず「良い本出してますね」と声をかける。その出版社、テーマ性があって、センスの良い写真集を出版されていて、いつも棚で見かける度に「良いなぁ」と手にとっていたのだ。しかもいくつかの書店さんで売れ行きも良いと聞いていたのだ。

 するとその営業マンはありがとうございますと礼を述べつつ「ほんと企画会議が丸一日かかることもしょっちゅうなんです。でももちろん売るのも大変ですからこうやって細かく回ってます」と話された。そこには、商品に対する自信が溢れており、しかも営業としての誇りである、売る事への熱意も感じられ、こちらも思わず元気にさせられてしまった。

 その後は大手町に移動し、丸ノ内線を営業。大手町のY書店さんは駅のコンコースの隙間に、棚を10数本並べた超ちびっ子本屋さんなのだが、こういうお店の工夫話は本当に面白い。

「サラリーマンが多いんで時代小説は当然売れるんです。でも文庫の棚が2本しかなくて、どこまで入れるかの選択が難しいですよね。今は司馬遼太郎、藤沢周平、池波正太郎と棚に差してますけど、もちろん山本周五郎も並べたいんですよ。でも入れるためには、どれかを外さなきゃいけなくて、でも外すものもないんですよ」

 そういえば、いつだか「本の雑誌」で書店員さんの座談会をやったとき、「入荷には意志がないけど返品には意志がある」なんて発言があったっけ。それはパターン配本でやってくる新刊本は、取次や出版社の思惑で勝手にやってくるが、それを返品する際は、自分の意志でどれを返すか選ぶってことだ。

 その話と同様で小さなお店は、たった1冊の本を置くか置かないかで相当悩み考えるもの。それは当然で、1冊1冊、売れる売れないかが当日の売上にシビアに響くわけで、常に真剣勝負なのである。その工夫と気持ちが棚から伝わってくるからこそ、こういうお店を回るのが楽しい。

 やっぱり営業は面白い!