6月24日(金)
本来今月発売の予定だった編集長椎名誠の新刊『読書歯車のねじまき仕事』が来月にズレ、営業的には苦しいのだけれど、新刊がないということは追い込まれることがないわけで気持ち的には楽か? いやそりゃ自分の首を自分で絞めているようなもんか。
ネット予約用にサイン本が作れないか編集長に確認したところ「ああ、その時期はアラスカだなぁ」とのことで残念無念。それにしても上司のスケジュールがアラスカとかアマゾンって、うちの会社は商社か?
久しぶりに行徳の山下書店さんを訪問するが、やっぱり良い店だなぁとしばしお店を眺めてしまう。
O店長さん曰く「普通のお店を作ってます」とのことで、どこも奇をてらった品揃えではないんだけど、現在の出版業界でこの坪数で、普通のお店を作ることがどれだけ難しいことか。そして本を選ぶのはお客さんというスタンスだから、まったくお仕着せがましさのなさがとても心地良い。
中村橋の中村橋書店さんやこの行徳の山下書店さんのようなお店が地元にあったらどれだけ幸せなことか。ああ、駅前に普通のお店が出来る仕組みを早く作って欲しいものだ。
なんてことを考えつつ、夜、とあるベテランの書店員さんと酒を飲んでいたら「いや~、杉江くん、もうダメだよ書店は」と弱音を吐かれる。
「出版社の人は、ベテランの書店員が辞めていくとあの書店はもうダメだとか言い出すけど、そんな状況に書店を追い込んでいる要因は出版社にもあるんだよね、この間なんてさ、本に付いているCDが不良品だってクレームがあって、出版社に取り替えの連絡を入れたの。そしたらその出版社は直送なんて当然やってくれなくて、普通に取次通して流してくるわけ。その間に1週間とか2週間かかって、お客さんはもう取りにいくのも面倒なんて言い出して、結局うちから直送したよ。たかだか1000円ちょっとの本で、そんなことしていたら赤字も赤字だよね。でもどうすることもできないよね、お客さんだもん。それでさ、そうやって元々少ない利益を食っていかれて、削るところって人件費しかないじゃん。ベテランはリストラして、若い子は社員っていっても、ものすごい薄給で、田舎からお米とか送ってもらってしのいでいたりするんだよ。それでも社会保険がつくから良いかなんてさ」
先日とある取次店さんの人と飲んでいた時は「もう中間マージンじゃ食っていけない」なんて言葉も聞いた。
しかしだからといって出版社である、例えばこの本の雑誌社は食っていけるのか?と聞かれたら、僕自身この先どうやって子供二人を育てていくのかと悩み、出来れば先のことなんて考えないようにしようなんてフタをしてしまう状況だ。
いったい誰が笑っているんだ? それとも誰も笑えない仕組みなのか?