11月8日(火)
とある書店さんを訪問すると、僕が先日この日誌で書いた出版点数の話となり、そこから出版の未来というか書店の未来の話になる。
「でも出版社は良いですよね、アマゾンやらのネット書店とかコンビニが良くなったといえば、そっちで売ってもらえば良いんですから。アマゾンが日本に出来るときの、出版社のあの反感は何だったんでしょうね。たった5年で、これですよ。もう私たちリアル書店って、この間軍艦島の本を見て思ったんですけど、炭坑とか、そうそう造船とか、そんな感じなんじゃないですかね? もしかしたら書店だけでなく小売り業全般がもうダメなのかもしれないけど…」
確かにメーカーである出版社は、ネットで売れようがリアルで売れようがコンビニで売れようが売上は売上。そういえば先日フルーツショップの前で新発売の香水をデモ販している化粧品メーカーを見かけたが、売れる可能性のある場所で、モノを売るという意識は、当然メーカー(出版社含む)にあるだろう。
しかし小売りである書店さんはそうはいかない。ビレッジヴァンガードさんのようなやり方はあるにしても基本は本だ。
「私、今になって親がよくいう大きな会社に入りなさいっていうのがよくわかりますよ。同じ本好きで、出版社に勤めているか、書店で働いているかで、待遇が全然違うんですから。でもまあ私は本が好きだし、書店員という仕事が好きなんでずっと続けていきたいんです。でもでも食べて行けないような環境じゃ続けていけないんです。どうしたら良いですかね」
書店員さんの待遇はもう使い捨てといって良いような状態で、意欲があって、能力もある書店員さんが「生活」のために辞めていかれるなんてのはしょっちゅうだし、ベテランの書店員さんなんていうのはほんと少なくなってきている。目指すべき姿がないというのが現状だろう。本来書店員という仕事はかなり経験職のはずなのにこんなことで良いのだろうかなんて思うけれど、そういうところに追い込んでいるのは僕たち出版社なのかもしれない。
書店、取次、出版社、三位一体なんて言いつつ、それぞれ自分たちが生き残ることしか考えていないように思えるこの業界は、果たしてどこに向かっているんだろうか? そして僕はどうしたいのか? 真剣に考えなければならない。