6月16日(金)
『フチボウ 美しきブラジルの蹴球』アレックス・ベロス著(ソニー・マガジン)読了。500ページを超える分厚い本だったが、まったくだれることなく、クライマックスのソクラテスのインタビューまで一気読み。今のところ2006年サッカー本大賞、最有力候補!
よくブラジルと日本のサッカーを比較する際「歴史が100年違う」なんて言い方をするけれど、その差は時間の問題ではないことがこの本を読むとよく分かる。ブラジルにとってサッカーはまさにアイデンティティであり、その浸透度はアマゾンの奥地まで広がっているのだ。帯には「サッカーに取りつかれた国」とあるが、本書を読むと取りつかれたのはサッカーの方なのではないか思えてくる。名著『サッカーの敵』サイモン・クーパー著(白水社)を楽しめた人は絶対この本も楽しめるだろう。そして日本のサッカーライターもこの著者を見習って欲しいぞ。
本日の営業目的地・御茶ノ水へ向かう前に新宿K書店さんを訪問。担当のKさんと話をしていたら「これすごい胸に来るんですよ」と紹介していただいたのが『愛する言葉』岡本太郎、岡本敏子著(イースト・プレス)。「ほら。ここ」と広げられた一遍の詩というか言葉を何気なく読んだら、こちらも思い切り胸をわしづかみにされてしまった。
うーむ、愛も恋もとっくに終わってしまった僕でもこんなことを言われたらたまらないけど、これは現役で恋をしている人には相当来るんじゃないか? Kさんも「こんな女になりたいですよね」とうっとりされていたが、その気持ちよくわかる。
その後は予定通り御茶ノ水へ。M書店のコミック担当のMさんから「この本があるから僕は書店員を続けている」と熱烈プッシュされたのは『スピリット オブ ワンダー』鶴田謙二著(講談社)。 ああ、そういうことを言われてみたい。
神保町のS書店さんでは、レッズバカ仲間のS出版営業ヤタベッチと遭遇。ゴール裏では誰よりも汚い言葉で選手を罵っているのに、営業中はとっても真面目で、メガネがキラリと光っているではないか。昼間のパパは違うのね。
営業を終えたヤタベッチとしばし立ち話をするが、サッカー場以外で話すときの話言葉に戸惑う。ため口でいいのか、敬語なのか? うーん、そんなことよりヤタベッチを見習ってきちんと仕事をしよう。