9月4日(月)
夏、とある大学生からメールをいただいた。
その方は大学3年生で、まもなく始まる就職活動で出版を目指しているのだが、ここに来て出版社で何をしたいのかわからなくなってしまった。さて、どんな仕事をしたいのか考え直すために、僕の営業に一日同行させてもらえないかとのことだった。
気持ちは何となくわかるのだが、そもそも僕の営業について廻ってもまるで参考にならないだろうし、営業活動自体、僕に取ってとても大切な、例えそこでサッカー話で盛り上がっていたとしても、その裏で非常に気の張りつめた真剣勝負をしていたりするので、とても誰かを連れて歩くなんて考えられず、申し訳なくも断りのメールを入れた。
それからずーっと考えているのだが、出版社に入ろうとした場合、やっぱり編集者になりたいとか営業マンになりたいとか具体的に考えていた方がいいんだろうか? ということだ。なぜなら新卒採用する大きな出版社なんて、それこそ入社した後にどこぞの部署に配属されるかわからないし、例え初めに希望が叶ったとしても3年くらいで異動になったりするのではなかろうか。
そもそも出版社だって会社だから編集や営業がいるだけでなく、そこに経理がいて、宣伝がいて、庶務だって、総務だって、人事だってある。そういう部署があって初めて会社は成り立つわけで、本の雑誌社で一番偉いのは経理である、というのは代々伝わる会社の家訓だったりする。
そう書きつつ、自分のことを思い出す。
本が好きになり出版社で働きたくなった。そのときは「編集者」という仕事以外出版社にあることを知らなかった。とりあえず出版社に入る前に本のことをもっと知ろうと本屋さんでアルバイトを始めた。そこに毎日やってくるおじさん達がいて、「営業の人」と呼ばれていた。おお、そりゃ当然出版社にも「営業マン」がいるよなと改めて気づく。
その後紆余曲折ありつつ、医学書の出版社に就職することになるのだが、その際応募には「編集希望」と書いたと思う。医学書に作りたいものがあったとは思えないので、ただただ極度の人見知りなので、コツコツ机で何かする仕事が向いていると思ったからだ。しかし採用してくれた社長から「入社してすぐ編集は無理だからまずは営業で」と言われ、まあそうだろうなと思いつつ、営業マンになった。そこから転職し、本の雑誌社にいるわけだが、今は営業とかそういうことは関係なく、マツモトキヨシになっていたりする。
で、ようは何が大事なんだろうか?ということだ。
僕はやっぱり本が好きかどうか、あるいは本の力を信じられるかどうか、なのではないかと思っていたりする。その気持ちがあればどんな部署になろうと続けられるだろうし、そうじゃなければ薄給過労働のこの仕事はあまりにツライのではなかろうか。
しかしきっと大きな出版社の面接では、会社に入ったら何がやりたい?とか具体的に聞いてくるのだろう。そんなこと聞いても無駄なのに。だって藤原が入社する際の面接で20人くらいの人に企画を3つづつあげてもらったが、正直ひとつも使えるようなものはなかったし、気を引かれるモノすらなかった。本作りは、そんな甘くないだろう。
うう、答えになってないなぁ。ごめん、大学生。
とりあえず本が好きなら、本の力を信じるなら、飛び込んでみれば…と思います。で合わなかったら別の仕事に就けば良いんだから。