9月12日(火)
妙に早くやって来た藤原が僕を呼ぶ。
「『文庫王国』の件なんですけど…」
「だからそれは昨日の晩も話したとおり、今年は自分で考えろって。それが出来ないなら時間制で相談に乗ってやるから焼肉で返せよ。昨日の夜の分だけでレバーとハラミとタマゴスープが確定してんだからな」
目黒、浜本、そして浜田とあまりに甘えさせ過ぎて 失敗してきたので、藤原にはより一層厳しくあたることにしているのだ。
「いえ、それはそうなんですけど、焼肉じゃ済まないことになってしまいまして…」
「えっ? 焼肉じゃ済まない?? つうことはお前、それはあとはクビしかないんじゃないか?」
ぼそぼそと藤原が顔面蒼白で告白し出したのは、随分前に取材しテープ起こししたその原稿をなくしてしまったということだった。当然テープもすでに消去していた。
「あーヤバイです。ほんと。どうしましょう?」
「そういえば前の会社で症例写真を酔っぱらってなくした人はクビになったなぁ…」なんて呟いてみると、まるでおしっこを我慢している子供のようにモジモジし出す。
しかしそのときふと思い出す。うん? その原稿、確か一度見てくださいって僕にメールして来なかったっけ? だったらまだ僕のパソコンに残っているんじゃないかと確認するとありました、ありました。ハハハ。
ということで藤原はすっかり一件落着な気分になっているが、お前終わってないぞ! 焼肉じゃ済まないって自分で言ったんだからな。何奢ってもらおうか?
こんな藤原の顔を見てみたい方は「うりこみ堂」でご確認ください。