WEB本の雑誌

12月19日(火)

通勤読書は、『マンボウの刺身 房州西岬浜物語』岩本隼著(文春文庫)。

千葉県館山市香という漁村を大学時代に訪れた著者が、その海を愛し、ついには住みついてしまい、漁を覚えたり、土地の人との付き合いを綴ったエッセイ。そうか、こういう生き方があったのか。どうして僕はこんなにも仕事に縛られ、お金に振り回されていたんだろうと気づかされる。
 まあ、そんな堅苦し本ではなく、子供のまま大人になってしまった海を愛する男たちとその土地の話だ。素晴らしい。

 出版業界は来年から本の後ろについているISBNコードが10桁から13桁に変わるのでおおわらは。いや小社が今さら騒いでいるだけなのかもしれないけれど。とりあえず現在渡されている10桁のコードを、ある計算式に基づき13桁に変更するのだが、これが面倒くさいというかできねーと編集の松村、藤原が不平を漏らし僕のところに持ってくる。「俺だって文系なんだよ」と事務の浜田に渡したらついにぶちぎれ「キィー」と叫び電卓を投げつけてきた。

 だからさぁ、全部書き換えたコードリストをいち早く買えば良かったんだよ…というわけで、今さら申し込む。しかし僕らの年代以前に出版業界に入った人は、消費税の導入に、5%移行に、ISBNコードの13桁化に振り回されましたね…なんて渋谷のB書店コミック担当Sさんと話す。

 ちなみにSさんと話をしていて教わったのは「目利きをして仕入れているようなコミックは1巻目がバカ売れしても2巻目以降はその何分の1かに減ってしまう」ということ。最近では『デトロイトメタルシティ』若杉公徳(白泉社)がそうらしいのだが、ようは全体に普及してしまうと、どこの本屋さんでも買えるようになってしまうため、全体の部数はあがったとしても、単店ではさがってしまうそうなのだ。そうかコミックを買うお客さんはどこで買うというよりも、あるお店で買うという傾向が強いのか? いや逆か。話題になり始めたときに在庫のあるお店を探して集中するんだな。『千利休』もそうだった。それだけすぐ読みたい、手にしたいという欲求が強いのだ。

 しかしそうなると次から次へと面白くてヒットしそうなコミックを探していかなきゃならないわけで、コミック担当者さんも大変だ。

 大変といえば文芸担当者も今年は大変だったようで、何軒ものお店で「肩身が狭い」という話を聞いている。大したヒット作もなく、お客さんは単価の低い文庫や新書へ流れてしまい、売上がなかなか下げ止まらないようだ。会議でもマイナスの報告が続き、他のジャンル担当者に合わせる顔がないとか。

 文芸出版社様、お互い頑張って、文芸書担当の書店員さんが胸を張って会議に出られるようにしましょう!