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岩井 麻衣子の<<書評>>
鳥類学者のファンタジア
【集英社文庫】
奥泉光
定価 1,300
円(税込)
2004/4
ISBN-408747688X
評価:C
雑居ビルの地下にあるジャズ喫茶の専属ピアニスト希梨子。オリジナル曲 ”フォギーズ・ムード”を久々に弾いた日、以前から幽霊かもと感じていた柱の人影に対面する。「キリコ」だと名乗る女性は「オルフェウスの音階」という言葉を残して消えてしまう。30後半にもなって実家で親の世話になり、パンツも自分で洗わないオンナである希梨子の冒険らしく、大胆な行動があるわけでもなく、ゆるく物語は過ぎていく。また、はっきりとした12音を持つピアノの音階と数学・天文学を結びつけ、難しい言葉が登場するが、言葉以上の説明があるわけではない。現実と虚構が入り交じった世界観は素晴らしいが、自分つっこみが多すぎてうんざり。希梨子のイメージにはあう文章だが、どうもきれが悪く、語りが北の国からの純君にだぶって、文末に「〜なわけで、父さん・・ボクは、ボクは」フレーズが流れて大変だった。奥泉調の好きな人は楽しめるだろう。うだつのあがらない30女のファンタジーが異色。
ぼんくら
(上下)
【講談社文庫】
宮部みゆき
定価 620
円(税込)
2004/4
ISBN-4062747510
ISBN-4062747529
評価:A
鉄瓶長屋で繰り広げられる江戸人情時代もの。長屋で起こる事件を描く14の短編が、やがて一つの大きな謎に編み上げられてく。やる気のないぼんくら同心が事件の解決を行う探偵役。うんちくミステリーが増えている中で、人と人の絡みのみで読ませる手法はさすが宮部さん。ぼんくら同心をはじめ、登場人物全てのキャラが魅力にあふれ思わず唸ってしまう。前半はありがちな展開なのだが、後半に判明してくる謎に話が進むと、物語がぴかぴかと光りはじめる。一筋縄ではいかない素晴らしい展開で、安心して万人にすすめられる一冊である。ただ、悪をバシバシさばく、正義好きな人は、ぼんくら同心にいらいらさせられるかもしれない。私自身が白黒はっきりさせたいタイプなので、「こんな犯罪なら自分もやっちゃうかも」とうやむやにするぼんくら同心を蹴り上げたくなった。必殺仕事人で昼行灯のふりをする主水とは違い、まじでぼんくら同心(でも性格はいいんです)が人間くさく活躍。
パレード
【幻冬舎文庫】
吉田修一
定価 560
円(税込)
2004/4
ISBN-4344405153
評価:A
あこがれの男女同居友情物語と思いきや、おっそろしい話だった本書。2LDKをルームシェアする男女4人とそこへ転がり込んでくる少年の5人の視線で話は構成される。先輩の彼女に横恋慕する大学生・良介(21)が、彼女の家でむかえた朝食の席で「気持ち悪っ」となり、絶世の美女・琴美(23)がアイドルの彼氏からの電話をひたすら待つ姿に「あほやな」となる。様々な映画のレイプシーンを1本のビデオにおさめる雑貨屋店長・未来(24)の破滅的な生き方にいらいらさせられ、男娼・サトル(18)の性格の悪さにひいていってしまう。そして、インディーズの映画会社勤務・直樹(28)のラストに、ただただもう絶叫するばかりだ。衝突しないように自分を殺す若者たち。肉体関係のない男女の同居ってやはり健全ではないのかもしれないけど、虚構の世界くらい夢みさせて欲しい。そんなバカな思いをうち砕いてしまうすんごい物語。ああ、人間って怖いよねえ。
容姿の時代
【幻冬舎文庫】
酒井順子
定価 520
円(税込)
2004/4
ISBN-4344405056
評価:C
季節ごとに、ブームの洋服・メイクが出現し、多くの人々を慌てさせる時代。心がきれいだったら外見は関係ないなんていっても、冷静に考えると何より外見が重要だろうという著者はこれを容姿の時代とし、現代において人々は「見かけ」の奴隷となっていると指摘。本書は、OL、ヤンキー、おたくなどの洋服について語る「着衣編」と、化粧、整形、足などについて語る「脱衣編」の2編からなる。バーゲンに走ったり、まつげが10倍に伸びるマスカラを血眼になって買い求める人々を見ていると、なるほど奴隷だなあと思う。そんなに外見を気にしなくてもと思うのだが、本書でいうところの「おたく(風呂には入ります)」系でオンナ力の低い私にはそんなことをいう資格なんて全くないだろう。著者は自分も同じ奴隷だと言っているが、どこか「ほかの人とは違うのよ」という高飛車な感じが文章に漂う。著者の独断と偏見が大好きなファンのためのエッセイ集。
働くことがイヤな人のための本
【新潮文庫】
中島義道
定価 420
円(税込)
2004/4
ISBN-4101467234
評価:B
働くことが好きになるための本ではない。助けてくれる本でもない。著者は、心理カウンセラーでもなく、宗教家でもない。哲学家である。仕事に関して疑問をもつ架空の4人との対話形式により「生きがい」と「仕事」について話がすすめられる。著者の長い演説のあとに、著者の分身でもある4人が「よくわかります、先生」とか言っており、「いや、全くわからん」と読者の立場ではつっこみまくりだ。当然、何の解決もしないのだけど、読了後なぜか「働こう」と思ってしまった。必ず考えることが重要だという著者。思考を停止してバカになってしまうより、環状線のようにずーっと悩んでいる方が、生きていることだということか。働きたくない人、悩んでいる人には確かにお勧め。この本自体は何の助けにもならないけれど、自分自身を助ける心を養う一冊である。
ミカ!
【文春文庫】
伊藤たかみ
定価 580
円(税込)
2004/4
ISBN-4167679027
評価:C
子供の出口にいるミカとユウスケの双子の兄弟。ミカは成長がはじまりだんだんとオンナ化していく自分を認められず不安定だ。それなのに、両親は別居、姉は家出。もう最悪である。そんな双子の前にキウイしか食べない毛のはえたサツマイモのような物体が現れる。「おととい」と名づけられたそいつは、なぜかミカとユウスケの涙を吸ってどんどん大きくなっていく。悲しみ吸収体を抱いて隠れて涙を流すなんてよく考えるとクサイ話だが子供を主人公にしたことで「自己陶酔」などといういやらしい目をくらませる。また、あの頃の純粋なアタシなんて、あとから合成したような美しい思い出にひたったりもできる。児童文学というよりも、大人のための児童時代の思い出物語だろう。殺したり、騙されたり、過去の怨念が迫ってきたりという最近のどろどろした小説にうんざりした人におすすめ。素直に読めばそれだけ美しい。
弁護士は奇策で勝負する
【文春文庫】
D・ローゼンフェルト
定価 810
円(税込)
2004/4
ISBN-4167661608
評価:C
父が検事として有罪判決を勝ち取った事件。息子のアンディは父からもう一度事件を上訴し、今度は無罪判決に持ち込んでくれるように頼まれる。釈然としないながらもしぶしぶ引き受けるアンディ。しかし父は真実を語らぬまま急死し、彼のもとにはなぞの事件と巨額の財産が残された。冤罪かもしれないという事件と父のお金には、いったい何の関係があるのか。一枚の写真を手がかりに事件を調べるアンディは次々と妨害攻撃をうける。関係者の話を聞いていくという形で物語は進み、意外にあっさりとした展開である。弁護士探偵なので法廷での場面が多数出てくるが、題名どおり「奇策」で勝負というか、「へらず口」と「そんなやり方アリですか」で勝負だ。アメリカは弁護士も検事も大変。重くも複雑でもないアメリカの法廷ミステリを楽しみたい人、火曜サスペンス劇場が大好きな人にお勧めの一冊である。
奇術師
【ハヤカワ文庫FT】
クリストファー・プリースト
定価 987
円(税込)
2004/4
ISBN-4150203571
評価:A
自分の分身の存在を強く感じていたアンドルーが呼び出された洋館。家主の女性に、彼の曾祖父は瞬間移動を得意とする奇術師で、自分の曾祖父とライバルだったのだという話を聞かされる。彼らの曾祖父たちはある事件から、いがみあいがはじまり、ついにはお互いの人生を狂わせる関係になってしまったらしい。奇術「瞬間移動」のタネと、アンドルーが感じる分身の存在がどう結びついていくのか……。最後まで予測のつかない展開が広がる。小説の形をとったイリュージョンというところである。惑わされ、どんでん返しがたくさんあって、最後にはおなかいっぱい、もう勘弁してくれ状態。ちょうど、イリュージョンを観たときのように頭の芯がぼーっとしてしまった感じだろうか。知力、体力ともに充実しているときに読むことをお勧めする。タネを明かしてやろうという人は、手品の細かい描写にやられないように。大切なことを読み落とす可能性アリである。
荊の城
(上下)
【創元推理文庫】
サラ・ウォーターズ
定価 987
円(税込)
2004/4
ISBN-4488254039
ISBN-4488254047
評価:AA
ロンドンで犯罪者たちに育てられ、自分もスリを営むスージー。ある日、「紳士」と呼ばれる詐欺師が、城に住むお嬢様を騙して財産を奪いとる計画をスージーに吹き込む。母代わりに育ててくれたおばさんにラクをしてもらうため、スージーは城に女中としてもぐり込むが……。どこに感情移入してもそのうちどん底に突き落とされてしまう、荊の城という名前にふさわしい、暗い闇が広がる小説である。ミステリ話をベースに、二人の少女の愛の物語が挿入される。友情というよりはなにやら怪しい雰囲気が漂うのも荊の城にはよく似合う。物語は2転3転する。そのたびに翻弄され、いったいどうなっていくのか息をつくひまもない。石畳を騒々しく走る馬車や、ひっそりとたっているお城など、日本人がイメージするヨーロッパの姿が目に浮かぶような描写が見事。話はどろどろだが受ける印象はとても美しい。
戦慄の眠り
(上下)
【講談社文庫】
グレッグ・アイルズ
定価 840
円(税込)
2004/4
ISBN-4062739879
ISBN-4062739887
評価:B
戦場で行方不明になったカメラマンを父に持ち、自身もピュリッツァー賞を受賞したジョーダン。彼女は仕事で行った香港の偶然入った美術館で裸の女性たちの絵を発見する。死の雰囲気をかもしだす女たち。そしてその中には連続誘拐事件に巻き込まれ行方不明になっている双子の妹ジェーン姿があった。FBIと事件を捜査するジョーダン。ジェーンは生きているのか、犯人はだれなのか、裸の女たちの絵と事件の関係は……。奇怪な事件といかれた動機のサイコサスペンスである。最後まで先を読ませない見事な構成だ。また事件のみならず、一人で強く生きてきたジョーダンの魅力、それに惹かれる人、反発する人など、人間ドラマとしてもすばらしい。スーパーウーマンで美しいジョーダンにネタミを感じるとはいえ40すぎてのその魅力には脱帽。こんな女性になりたいものである。