手島 洋の<<書評>>
流星ワゴン 【講談社】 重松清 定価 730円(税込) 2005/2 ISBN-406274998X
ぼくらのサイテーの夏 【講談社】 笹生陽子 定価 400円(税込) 2005/2 ISBN-4062750155
素晴らしい一日 【文春文庫】 平安寿子 定価 590円(税込) 2005/2 ISBN-4167679310
猛スピードで母は 【文春文庫】 長嶋有 定価 400円(税込) 2005/2 ISBN-4167693011
格闘する者に○ 【新潮文庫】 三浦しをん 定価 500円(税込) 2005/3 ISBN-4101167516
泳ぐのに、安全でも適切でもありません 【集英社文庫】 江國香織 定価 480円(税込) 2005/2 ISBN-4087477851
評価:B 目次を見たとき、まず作品の短さに驚いた。長くても30ページ程度。10篇の短い話のいずれもラヴストーリーだ。女性の一人称で、毎日のように会っている恋人、かつて付き合っていた愛人、分かれてしまった恋人など、さまざまな相手のことが語られる。特徴的なのはその文章。散文でありながら非常に詩的だ。「青年なんだか中年なんだかわからない感じの人」、「顔の造作もなんとなく大雑把だった」、「無職で酒飲みで散らかし屋で甘ったれの男」といった表現が登場する。具体的に説明はしていないが、想像力をかきたてる表現だ。小説の形を借りた詩なんだ、と思い、だからこんなに作品が短いのかと勝手に納得した。ラヴストーリーとはいっても、犬小屋に入りたがる男や、毛糸の水着を着て泳いだ姉妹、なんていうよく考えたら酷くシュールな話も多いのだが、違和感なく読ませてしまう。さすがというべきところなのだろうが、余りにもひっかかりがなく読めてしまうところに、やや不満に感じなくもなかった。せっかく海に出たなら、もっと「安全でも適切でも」ないところまで泳いでほしい、冒険してほしい、と思ってしまうのは贅沢なのだろうか。
ランチタイム・ブルー 【集英社文庫】 永井するみ 定価 580円(税込) 2005/2 ISBN-4087477886
耽溺者(ジャンキー) 【講談社文庫】 グレッグ・ルッカ 定価 1,000円(税込) 2005/2 ISBN-4062749823
悪徳警官はくたばらない 【文春文庫】 デイヴィッド・ロ−ゼンフェルト 定価 810円(税込) 2005/2 ISBN-416766190X
ヘンリ−の悪行リスト 【新潮文庫】 ジョン・スコット・シェパ−ド 定価 860円(税込) 2005/1 ISBN-4102151214