北嶋 美由紀の<<書評>>
向田邦子の恋文 【新潮文庫】 向田和子 定価380円(税込) 2005/7 ISBN-4101190410
きよしこ 【新潮文庫】 重松清 定価460円(税込) 2005/7 ISBN-4101349177
ハミザベス 【集英社文庫】 栗田有起 定価480円(税込) 2005/7 ISBN-4087478408
ぶたぶたの食卓 【光文社文庫】 矢崎存美 定価500円(税込) 2005/7 ISBN-4334739059
NHKにようこそ! 【角川書店】 滝本竜彦 定価580円(税込) 2005/7 ISBN-4043747020
サマー/タイム/トラベラー(1・2) 【ハヤカワ文庫JA】 新城カズマ 定価693円(税込) 2005/7 ISBN-4150307458 ISBN-4150308039
評価:B 1,2とあって、未完かと思えば、この2巻で完結で一安心。なぜ上・下巻じゃないのかとどうでもよいことを考える。 主人公卓人の幼なじみで、友情以上のものを感じ始めている悠有。悠有は時空を「跳ぶ」能力があるらしい。それを解明しようと〈プロジェクト〉が組まれる。構成員は卓人、悠有の他に、縦ロールヘアーのお嬢様、町の名士の孫、この夏からグループに加わった、何かとダーティーなウワサのつきまとうコージン。5人はそれぞれ影の部分も持っているが、頭脳明晰で、理屈っぽい高校生達だ。彼らが駆使する論理はわかったようで、よくわからなくて、しかし、そこが結構おもしろい。理系の思考可能な人はもっとおもしろいだろう。〈プロジェクト〉は夏休みを楽しむための暇つぶし的ゲームのはずだったが、町で頻発する放火と放火犯から悠有に届く脅迫状という現実がからんできて、5人の運命を変化させる事件へと発展してゆく。人生なんて、とタカをくくる頭デッカチの若さと、自分を想ってくれる人のいる幸せや置いてけぼりを食う不安をかみしめることになる夏休みを回想する青春SF小説(ミステリーもちょっぴり)といった感じだ。(回想文独特の表現が読みづらいところもあるが。) 「現実」から逃れるために机上の空論をぶつけ合う4人と未来を信じる悠有。「現実」を生きられなくなった悠有の兄、普通に会話をしない卓人の母、脇役も含めなかなか個性の強いキャラが勢ぞろいだ。 さわやか青春ものではないし、現実離れもしている(SFだから仕方ない)が、いやな読後感はなかった。 未来はなかなかのものらしいし、出てくる本をどれだけ読んでいるか数えてみるのもおもしろいかも。
サイレント・アイズ(上・下) 【講談社文庫】 ディーン・クーンツ 定価1100円(税込) 2005/7 ISBN-4062751437 ISBN-4062751445
ウォータースライドをのぼれ 【創元推理文庫】 ドン・ウィンズロウ 定価1029円(税込) 2005/7 ISBN-4488288049
愚か者の祈り 【創元推理文庫】 ヒラリー・ウォー 定価882円(税込) 2005/7 ISBN-4488152066
月下の狙撃者 【文春文庫】 ウィリアム・K・クルーガー 定価870円(税込) 2005/7 ISBN-4167705044
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