林 あゆ美の<<書評>>
深尾くれない 【新潮文庫】 宇江佐真理 定価620円(税込) 2005/10 ISBN-4101199221
インストール 【河出文庫】 綿矢りさ 定価399円(税込) 2005/10 ISBN-4309407587
エコノミカル・パレス 【講談社文庫】 角田光代 定価420円(税込) 2005/10 ISBN-4062752042
ヌルイコイ 【光文社文庫】 井上荒野 定価480円(税込) 2005/10 ISBN-4334739504
評価:★★★ ぬるいという形容詞は水溶性のものに使うのだと思っていたが、いまでは関係をあらわしたり、人を形容したり、状態をあらわすものにも使われている。私も最近になってようやく使えるようになってきたところ。 『ヌルイコイ』はその「ぬるさ」を言葉と裏腹に鋭く書いている恋愛物語だ。 主人公のなつ恵さんはマンションの給湯設備が壊れたため、銭湯通いをすることになる。設備がなおったあとも、銭湯通いをつづけるうちに、いままでの日常とは違う世界に出会っていく。夫とは生活時間帯が違うので、日々顔をあわす時間も短い。だからというわけではないが、性格のよくない不倫相手もいる。主婦の合間に童話を書き、銭湯に通い、不倫をする、その巡回にもうひとつ「鳩」が加わる……。 湯気や霧のように見通しのあまりよくない所で、人間たちの泥くさい感情が行き交っている。その見通しの悪さはぬるく、泥臭さは洗練した筆で淡々と書かれる。なつ恵さんは幸福になれるかしら。
遠き雪嶺(上下) 【角川文庫】 谷甲州 定価580円(税込) 2005/10 ISBN-4041701023 ISBN-4041701031
秋の猫 【集英社文庫】 藤堂志津子 定価500円(税込) 2005/10 ISBN-4087478688
サルバドールの復活(上下) 【創元推理文庫】 ジェレミー・ドロンフィールド 定価987円(税込) 2005/10 ISBN-4488235077 ISBN-4488235085
暗く聖なる夜(上下) 【講談社文庫】 マイクル・コナリー 定価840円(税込) 2005/9 ISBN-4062751844 ISBN-4062751852
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