『ディスコ探偵水曜日』

ディスコ探偵水曜日
  • 舞城 王太郎(著)
  • 新潮社
  • 税込2,100円(上)
  • 税込1,785円(下)
  • 2008年7月
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  1. 出星前夜
  2. ラジ&ピース
  3. 七月のクリスマスカード
  4. アカペラ
  5. ディスコ探偵水曜日
  6. われらが歌う時
  7. レッド・ボイス
佐々木克雄

評価:星3つ

 著者様、関係者様、ファンの皆様──ゴメンナサイ、生理的にダメみたいです。
 星三つをつけてますが、正直なところ思考がショートして判断できず、ニュートラルの評価をしたまでで、「?」記号が許されるなら、そうしたいところであります。でもね、読後感がミョーに気持ちイイ。高温サウナから「はうッ!」と出てきたときみたい。
 俺=探偵ウェンズデイが、パインハウスの事件を解決してるんだか、してないんだか。いや事件は起きてるんだか、起きてないんだか。犯人はいるんだか、いないんだか。もうグチャグチャです。時空は飛ぶ飛ぶ、思考も飛ぶ飛ぶ、活字に食らいついてる自分は吹き飛ばされる。
 いいんじゃないでしょうか、こういう読書。また文壇を騒がす問題作になるとは思いますが、自分はその土俵には上がれそうもないです。枡席もムリです。たぶん二階席も。
 強いて言えば、この上下巻のブ厚さ、パラパラ漫画の超大作が作れそうです。

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下久保玉美

評価:星3つ

 著者の特徴である話し言葉がダラダラ続く文章スタイルが苦手です。同じように思う方はこの小説、少々辛いかも。でも、少し頑張ってください。目が慣れるとまあこれはこれで…という気持ちになるはず。
 内容はミステリなんだか、SFなんだか、奇想なんだか。事象が複層的に配置され、めくってもめくっても終着点がはっきりしないカオスな世界を構築しています。このカオスの世界で迷子探し専門探偵ディスコ・ウェンズデイが右往左往、東奔西走しながら世界の秘密と時空の謎を解明するのがこの小説の醍醐味っちゃあ、醍醐味。その過程をペダンティックに知をふんだんに散りばめて描いています。散りばめすぎて本書自体がミラーボール。このミラーボールのまばゆい光に踊らされているのはディスコなのか、それとも読者なのか?

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増住雄大

評価:星5つ

 何回、世界を壊されるんだろう(いい意味で)。
 待ちに待っていた舞城王太郎の新刊は、様々な舞城的なものがまとまってひとつになった現時点での舞城王太郎の集大成的作品。単行本2冊、計2000枚以上の大ボリューム。
 迷子探し専門の探偵ディスコ・ウェンズデイが見つけ出した「梢」を、両親は受け取り拒否。ディスコがしばらく預かっている間に梢の身体には不思議なことが起こり始め……。
 過剰なほどの量の登場人物と小道具。いくらでもどのような意味にでもとれる事柄の多発。世界や常識の崩壊。そして、何よりも、愛。見立てが間違ってて目に箸さして死にたくないので、あまり内容には触れたくない。素晴らしい作品であることは確か。この小説のことを考えすぎるあまり、仕事に支障をきたしたほど。
 十二ヶ月間「今月の新刊採点」を担当していて、今回この本を読んでいるときが一番幸せだった。私にとっては本年の、いや、ここ数年のベストワンかも。小説読んでいて、良かった。

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松井ゆかり

評価:星4つ

 舞城王太郎という作家に絶対の信頼をおききれない私は、いつも氏の作品の細部におもしろさを見出すことが多い。本書でも「(調布市)市民センターたづくりの五階」とか「宇野千代ダイニングセット」とか「男色行為が世界のあらゆる箇所でお前を待ちかまえてるみたいな世界観」とか「おじさん、ジェダイマスターみたい」とかの描写には爆笑させてもらった。
 しかしながら、やはり暴力的な部分にはちょっと閉口したし、この作品では物理学だか天文学だか(正確な分野すらわからない。しかも図解入り)の自分の理解を超える概念などが入ってきて、もう何が何やら。
 とはいえ、問題作(あるいは怪作)であることは間違いなし。とかく舞城作品は全肯定か全否定かのオールオアナッシング的な認識をされがちだと思うが、どちらの派閥のみなさんも読んでみられることをお薦めします。

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望月香子

評価:星4つ

 著者の作品は、気を確かに持って読まなければいけない…。というのが私が舞城王太郎を読むときに決めていることです…。
 スーパーSF小説なこの物語は、いったいどうやって受け入れれば?! と思うほどのスケールの大きさ。ときには図解ありの異次元空間へのトリップ。そこでの出来事と出会い。ぷっと吹き出してしまうようなやりとりの数々。著者以外からは味わえない、この独特の世界は、いったいどこまで広がってゆくの?! とついていくのが必死というのもまた醍醐味です。何が本当で、何が嘘? と始終考えてしまいましたが、それって実生活でも同じかも、と、人間のキャパじゃありえないような舞台なのに、自分を通して読ませるというのが凄い。

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