『お内儀さんこそ、心に鬼を飼ってます おけいの戯作手帖』麻宮好
●今回の書評担当者●ふたば書房京都駅八条口店 宮田修
人の業、想いとは、かくも醜く、哀しく、美しいものなのだろうか。
これは、昔も今も変わらない人の営みだろう。
おけいは、弟幸太郎のようにそれを見ることはできない。
過去の心の傷がある為、だからこそ、なぜそうなったのか想いを分かろうとその身になって考える。
そんな彼女だからこそ、戯作を書くことで、こぼれ落ちた、伝えられない気持ちをすくいとることが、人を動かすことができるのだろう。
妬み、嫉みは、人なのでこの感情はどうしょうもない。
ただ、一方で個人的な気持ちはあるにせよ、人を想う、慈しむ気持ちも嘘偽りの人の感情だと思う。
おけいたちが、気づいた真相に御奉行が粋な裁きを行い、小雪たちの人生に光がみえたのにほっとした。
御奉行の正体にいつ気づくのか、恋の鞘当ては、どうなるのか、おけい、幸太郎、伝三郎
トリオでの活躍と楽しみが、増すばかり。
再会が楽しみだ。
また、目が離せないシリーズの誕生だ。
- 『円かなる大地』武川佑 (2025年1月23日更新)
- 『三国志』北方謙三 (2024年12月26日更新)
- 『花の慶次』隆慶一郎(原作)、原哲夫(漫画)、 麻生未央(脚本) (2024年11月28日更新)
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- ふたば書房京都駅八条口店 宮田修
- 高知県生まれ、大阪在住。他書店から、2020年よりふたば書房入社。好物は、歴史時代小説、ミステリですが、ジャンルは、問いません。おすすめありましたらお願いいたします。好きな作家さんは池波正太郎先生。