『お内儀さんこそ、心に鬼を飼ってます おけいの戯作手帖』麻宮好

●今回の書評担当者●ふたば書房京都駅八条口店 宮田修

  • お内儀さんこそ、心に鬼を飼ってます おけいの戯作手帖 (コスミック時代文庫)
  • 『お内儀さんこそ、心に鬼を飼ってます おけいの戯作手帖 (コスミック時代文庫)』
    麻宮 好
    コスミック出版
    924円(税込)
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人の業、想いとは、かくも醜く、哀しく、美しいものなのだろうか。
これは、昔も今も変わらない人の営みだろう。

おけいは、弟幸太郎のようにそれを見ることはできない。
過去の心の傷がある為、だからこそ、なぜそうなったのか想いを分かろうとその身になって考える。

そんな彼女だからこそ、戯作を書くことで、こぼれ落ちた、伝えられない気持ちをすくいとることが、人を動かすことができるのだろう。

妬み、嫉みは、人なのでこの感情はどうしょうもない。
ただ、一方で個人的な気持ちはあるにせよ、人を想う、慈しむ気持ちも嘘偽りの人の感情だと思う。

おけいたちが、気づいた真相に御奉行が粋な裁きを行い、小雪たちの人生に光がみえたのにほっとした。

御奉行の正体にいつ気づくのか、恋の鞘当ては、どうなるのか、おけい、幸太郎、伝三郎
トリオでの活躍と楽しみが、増すばかり。
再会が楽しみだ。

また、目が離せないシリーズの誕生だ。

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ふたば書房京都駅八条口店 宮田修
ふたば書房京都駅八条口店 宮田修
高知県生まれ、大阪在住。他書店から、2020年よりふたば書房入社。好物は、歴史時代小説、ミステリですが、ジャンルは、問いません。おすすめありましたらお願いいたします。好きな作家さんは池波正太郎先生。