『三国志』北方謙三
●今回の書評担当者●ふたば書房京都駅八条口店 宮田修
三国志。
こんなに面白い物語もないのでは。
ゲームからはまって、漫画、小説と読みふけりました。
蜀なら、吉川英治先生「三国志」、横山光輝先生「三国志」。
呉なら、伴野朗先生「呉三国志」、朝香祥先生「かぜ江シリーズ」。
魏なら、三好徹先生「興亡三国志」、李學仁先生、王欣太先生「蒼天航路」。
歴史イフなら、桐野作人先生「周瑜奔れ-ハイパー三国志」。
映画、ドラマ、人形劇も外せませんね。
どうしても、五丈原で終わってしまうのが多いんですよね。
それ以降は、柴田錬三郎先生「英雄三国志」、塚本靑史先生、小前亮先生も書かれてますね。
陳舜臣先生、宮城谷昌光先生も忘れてはいけません。
ただ、読めない作品も、多くなっていて寂しいですね。
今回は、北方謙三先生の三国志。
単行本刊行の際には、隔月刊行で、2カ月1冊発売という驚異的なスケジュール。
ハードボイルドを描きたいので歴史小説を書かれたのは、語られている通りですが、これが見事にはまって、新しい人物像が浮かび上がります。
もともと、私は孫策贔屓ですが、孫策、周瑜は、もちろん呂布、張飛、馬超、郭嘉に新しい生命が宿ります。
冒頭の1行から、物語に引き込まれます。
映画の冒頭のようです。
黄巾の乱、官渡の戦い、赤壁の戦い、夷陵の戦い、五丈原と数多の有名な合戦を絡めながら各自の夢や野望、死に様が描かれます。
結末は知っているのに胸が熱くなります。
文庫の新装版も13巻出揃いましたので一気読みや、じっくり1冊づつでも、読み方は自由なんですかあの初読の楽しさを味わえるのは、羨ましい。
ここで描かれた呂布にはもう一度会いたい。
五丈原以後の、三国志もかいてほしいと夢想してしまいます。
この物語に、魅了されましたら次は、是非「破軍の星」を読んでいただきたい。
時は南北朝。
男の名は、北畠顕家。
その閃光の生き様を刮目してみよ。
- 『花の慶次』隆慶一郎(原作)、原哲夫(漫画)、 麻生未央(脚本) (2024年11月28日更新)
- 『大阪』岸政彦、柴崎 友香 (2024年10月24日更新)
- 『またうど』村木嵐 (2024年9月26日更新)
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- ふたば書房京都駅八条口店 宮田修
- 高知県生まれ、大阪在住。他書店から、2020年よりふたば書房入社。好物は、歴史時代小説、ミステリですが、ジャンルは、問いません。おすすめありましたらお願いいたします。好きな作家さんは池波正太郎先生。