『三国志』北方謙三

●今回の書評担当者●ふたば書房京都駅八条口店 宮田修

  • (新装版)三国志 一の巻 天狼の星 (ハルキ文庫 き 3-41)
  • 『(新装版)三国志 一の巻 天狼の星 (ハルキ文庫 き 3-41)』
    北方 謙三
    角川春樹事務所
    880円(税込)
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三国志。
こんなに面白い物語もないのでは。
ゲームからはまって、漫画、小説と読みふけりました。

蜀なら、吉川英治先生「三国志」、横山光輝先生「三国志」。
呉なら、伴野朗先生「呉三国志」、朝香祥先生「かぜ江シリーズ」。
魏なら、三好徹先生「興亡三国志」、李學仁先生、王欣太先生「蒼天航路」。

歴史イフなら、桐野作人先生「周瑜奔れ-ハイパー三国志」。

映画、ドラマ、人形劇も外せませんね。

どうしても、五丈原で終わってしまうのが多いんですよね。

それ以降は、柴田錬三郎先生「英雄三国志」、塚本靑史先生、小前亮先生も書かれてますね。
陳舜臣先生、宮城谷昌光先生も忘れてはいけません。

ただ、読めない作品も、多くなっていて寂しいですね。

今回は、北方謙三先生の三国志。
単行本刊行の際には、隔月刊行で、2カ月1冊発売という驚異的なスケジュール。

ハードボイルドを描きたいので歴史小説を書かれたのは、語られている通りですが、これが見事にはまって、新しい人物像が浮かび上がります。

もともと、私は孫策贔屓ですが、孫策、周瑜は、もちろん呂布、張飛、馬超、郭嘉に新しい生命が宿ります。

冒頭の1行から、物語に引き込まれます。
映画の冒頭のようです。

黄巾の乱、官渡の戦い、赤壁の戦い、夷陵の戦い、五丈原と数多の有名な合戦を絡めながら各自の夢や野望、死に様が描かれます。 
結末は知っているのに胸が熱くなります。

文庫の新装版も13巻出揃いましたので一気読みや、じっくり1冊づつでも、読み方は自由なんですかあの初読の楽しさを味わえるのは、羨ましい。

ここで描かれた呂布にはもう一度会いたい。
五丈原以後の、三国志もかいてほしいと夢想してしまいます。

この物語に、魅了されましたら次は、是非「破軍の星」を読んでいただきたい。

時は南北朝。
男の名は、北畠顕家。
その閃光の生き様を刮目してみよ。

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ふたば書房京都駅八条口店 宮田修
ふたば書房京都駅八条口店 宮田修
高知県生まれ、大阪在住。他書店から、2020年よりふたば書房入社。好物は、歴史時代小説、ミステリですが、ジャンルは、問いません。おすすめありましたらお願いいたします。好きな作家さんは池波正太郎先生。