●担当者●宮脇書店青森店 大竹真奈美

2020年4月16日更新

『おひさまパン』エリサ・クレヴェン

 絵本と猫にまみれて育った。  たくさんの絵本と、14ひきのねこ。 「3匹多い」と感じた方はもちろん、馬場のぼるさんのロングセラー絵本『11ぴきのねこ』をご存知でしょう。何度も何度も読んでもらった、大... 記事を見る »
2020年3月19日更新

『愛の色いろ』奥田亜希子

「ポリアモリー」という言葉をご存知だろうか。  複数の人を同時に、誠実に愛するライフスタイルのこと。それぞれ合意のもと同時にオープンに付き合うことらしい。 まだまだ馴染みのない言葉だが、叶姉妹の叶恭子... 記事を見る »
2020年2月20日更新

『線は、僕を描く』砥上裕將

 真っ新なページ。  まだ何も描かれていない、ただただ目の前に広がるその空白は、自由で、孤独だ。  無限の可能性の中から言葉をひとつ、またひとつと選び、掛け合わせていく。言葉を以って、あるいは言葉を越... 記事を見る »
2020年1月23日更新

『悲しみの秘義』若松英輔

 赤信号に加えて、青い矢印が点灯する。  それは、悲しみの前にいる感覚に似ている。 先には進めない赤に「こちらに進むならどうぞ」と、青い矢印は指し示す。でも、動き出すことができない。それはどの道も選べ... 記事を見る »
2019年12月19日更新

『かか』宇佐見りん

 母親の号泣する姿を見たことがあるだろうか。 あるとないとでは、きっと何かが決定的に違うように思う。絶対的存在である母親の「人間」らしさを垣間見る衝撃。そして母親の「女」の姿や、人として未熟な部分を感... 記事を見る »
2019年11月21日更新

『ライオンのおやつ』小川糸

「この本の続きは明日読もう」  そんな風に事を先送りすることはよくあるが、それが叶わぬことになるとは、この時自分は思いも寄らなかった。  眼の病気を患ったのである。痛みが酷く、読書どころか食事も睡眠も... 記事を見る »
2019年10月17日更新

『流浪の月』凪良ゆう

『流浪の月』を読み終えた夜。あの時ふと目にした月が、心でずっと揺れている。それは息を呑むほど心許ない繊月だった。ページの淵に漂い続ける記憶の残像。張りつめると切れてしまいそうな糸を、手繰り寄せることも... 記事を見る »
2019年9月19日更新

『三つ編み』レティシア・コロンバニ

 後ろから母が私の髪を梳かし、それを三つ編みに結う。そんな幼少期の思い出は、もし男だったら持ち得ない記憶だろう。私は女に生まれた。そのことは、今までどんな道を開き、どんな道を閉ざしてきただろう。 人は... 記事を見る »
2019年8月15日更新

『つみびと』山田詠美

 夏の猛暑の中で、ふと思い起こすことがある。 過去に起こった、子どもの車内放置や育児放棄などの放置事件だ。炎天下の車内に乗り込む時や、息苦しいほど暑い部屋に居る時、「あぁ、あの子たちは一体どれ程苦しか... 記事を見る »
2019年7月18日更新

『アタラクシア』金原ひとみ

「結婚」それは守られた城なのか、囲われた檻なのか──。「この度、結婚することとなりました」  唐突にこの場で私がそう言い出しても「おめでとう」「末永くお幸せに」と祝いの言葉を掛けて下さるのが一般的だろ... 記事を見る »
2019年6月20日更新

『むらさきのスカートの女』今村夏子

 あなたのご近所にもいなかっただろうか? 街の誰もがその存在を知っている、強烈キャラ人物。いわゆる名物おばさん、名物おじさんなどと呼ばれる人たちである。 子どもたちは、彼らに大抵上手いことあだ名を付け... 記事を見る »
2019年5月23日更新

『架空の犬と嘘をつく猫』寺地はるな

 これは、空に希望を、嘘にリボンをかけてくれる物語──。「この家にはまともな大人がひとりもいない」そんな6人家族の羽猫家。 突然「遊園地をつくる!」などと、思いつきで夢追う祖父と、なにやら怪しげな店で... 記事を見る »
宮脇書店青森店 大竹真奈美
宮脇書店青森店 大竹真奈美
1979年青森生まれ。絵本と猫にまみれ育ち、文系まっしぐらに。司書への夢叶わず、豆本講師や製作販売を経て、書店員に。現在は、学校図書ボランティアで読み聞かせ活動、図書整備等、図書館員もどきを体感しつつ、書店で働くという結果オーライな日々を送っている。本のある空間、本と人が出会える場所が好き。来世に持って行けそうなものを手探りで収集中。本の中は宝庫な気がして、時間を見つけてはページをひらく日々。そのまにまに、本と人との架け橋になれたら心嬉しい。