第34回:大阪城公園と姫路回想

ある火曜日。昼過ぎに大阪城公園へ。ずっと昔から聴いていて、いつも自分の想像の及ばない面白いことに果敢に挑戦し続けている印象のイルリメさんに誘ってもらい、ポッドキャストの収録をすることになっている。

「大阪城公園に13時に集合しましょう」と話し合っていて、でも大阪城公園は広いからいざ13時になってみるとそれぞれのいた場所は離れていることがわかり、中間地点で合流することにする。なんとなく歩いて、そのうち「もしかしたら歩いている道が全然違っているかも」と不安になってきたが、ちょうど向こうからイルリメさんが歩いてくるのが見えて、無事合流できた。

あたりを少し歩きながら座って話すのによさそうな場所を探し、お互いが持ってきたアウトドアチェアを出して座って、1時間半ほど話す。今日のために昨日を休肝日にしていたので、買ってきた缶ビールと缶チューハイを美味しく飲めた。

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イルリメさんと自分がこんな風にして座って二人で話すことがあるなんて、昔の自分からすれば、それこそ想像の及ばぬことだった。ここ最近、立て続けにお会いすることがあって、そんなところから、(たまにではあるが)会って散歩したり、ご飯を食べたりしている。自分にとっては、とてもうれしいことだ。

公園から京橋駅の方へと歩き、駅前で解散する。一度部屋に戻ってひと眠りして、夕方から再び京橋駅付近まで行ってお酒を飲んだ。酔って帰宅し、その勢いで、先日、私が取材を受けた『かんさい熱視線』をNHKの見逃し配信アプリで見る。その番組が放送された時、一度はリアルタイムで見たのだが、それは大勢の人がいる場で、あまりじっくり見るという感じでもなかったので、今回改めて見て、「なるほど、こんな番組になったのだな」と、ようやくわかった気がした。

それにしても、この番組自体がそうだし、それをみんなで見た時のことも、きっと忘れないだろうと思う。

この「火曜日は休肝日」の以前の回に、姫路の「あけぼのストアー」でハモしゃぶをした日のことを書いた。すごく美味しくて、その場ですぐ、漫画家のラズウェル細木さんに連絡してしまった。

ラズウェル細木さんとは以前、この店に一緒に来て飲んだことがあり、その時はただ瓶ビールを飲んで一休みしただけだったのだが、その時の様子をラズウェル細木さんが『酒のほそ道』の単行本のエッセイコーナーで少し書いてくれて、それを読んだこの店の常連さんがお店にその巻を寄贈して、それ以来、ずっと店内に単行本が飾られている。

それもあって、この店のことを気に入ってくれたようだったラズウェル細木さんを思い出し、「前に行ったあけぼのストアーでハモしゃぶをしているんですが、最高です! 今度行きましょう! 10月まではギリギリ食べられるそうですよ」といったようなメッセージを、酔った勢いで送った。

すると思いがけず前向きなお返事があった。ラズウェル細木さんは、ちょうど10月後半、用事があって京都に来る予定なのだという。で、そのタイミングに日時を定め、あけぼのストアーに電話してハモしゃぶの予約をしたのだった。それが10月23日だった。

しばらく前から、NHK大阪局の方から取材を受けていて、いつかそれがドキュメント番組にまとまる予定だと聞いていた。「そんなの、本当だろうか」と最初は半信半疑に思いつつ、自分のイベントに撮影クルーの方が来たり、私が取材をする予定があるとそこに同行してもらったり、そんな日々が続いていた。

その番組の放送日が決定して、それが10月23日だという。姫路のハモしゃぶの日。「まあ、リアルタイムで見なくても、後で何らかの方法で見ればいいや」と思っていた。ラズウェル細木さんと、ライター仲間の橋尾さんと、さらには東京から太田出版の森山さんも集まって、17時にあけぼのストアーへ。

店長に挨拶し、予約をしてあった旨を告げる。店内にテレビがあって、ちょうどNHKのニュースが映っていた。図々しいと思いつつ店長に「今日は何か野球の中継とか、他のお客さんがテレビで見たそうなものはありますか?」と聞き、「いや、今日は何もないからこのまま適当につけているだけ」ということだったので、「もしよかったら、19時半から見たい番組がありまして......」と頼んでみた。「ああ、いいですよ」とのこと。

自分でお願いしておいて、自分で驚いた。これはつまり、みんなでハモしゃぶをしながら店のテレビでその番組を見て、そして気ままにお酒が飲める場がふいに現れたということではないか。まったく考えていなかったことだったので、「なんだろうこのタイミングの重なりは」と思った。

ハモの骨でとった黄金の出汁で野菜を煮て、ハモしゃぶをして、それをつまみにビールやチューハイや、日本酒を飲む。

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そしてそうこうしていたら19時半になって、自分が映ったり、友達が映ったり、自分についてたくさんの人がコメントをくれる様子が映ったりした。私たちの近くのテーブルで宴会をしていた背広姿の方々も一緒にテレビを見て「自分、映ってるやん!」と驚いてくれたりした。

太田出版の森山さんは途中からテレビの横で立って見ていたのだが、その森山さんが画面に映って、"ダブル森山さん"の状態になった時もあった。

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ハモしゃぶをしようと前々から予約してあった日に、放送日がちょうど重なり、しかもその寛大なお店で気ままにテレビを見られる環境があって、テレビの近くの席でそれを見て、食べるものも飲むものも全部が美味しい。こんなに貴重な機会は、もう人生にないだろうと思われた。

それと同時に、良くも悪くも、いつだって現実は自分の想像を超えた方向へ進んでいくから、また思いがけない楽しいことだって、たまにはあるかもしれないとも思えた。