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2014年11月 七輪もくもく遁走号 No.377

 いま雑誌界で元気がいいのは、編集長の顔が見えるリトル・マガジンだ! というわけで、本の雑誌11月号の特集は「リトル・マガジンの秋!」。日本の伝統(?)漢字四文字タイトル誌三誌の編集長座談会から、モダニズムの時代のリトルプレスに復活してほしい20世紀のミニコミ、通が気にする現役リトル・マガジン18選にオンライン書店「リルマグ」からの報告。そしておじさん三人組が大阪堺の文学フリマを訪ねるてなもんや大阪紀行まで、商業誌とは一線を画すリトル・マガジンの世界にどっぷり浸れる24ページ。大作、話題作も目白押しだが、神保町には月見草がよく似合う。いざ、読書の秋はリトル・マガジンで目をしばたたかせてみるのだあ!

 新刊めったくたガイドは、酒井貞道がやっと出た、刑事ハリーの第一作『ザ・バット』の刊行を寿げば、佐久間文子はひたひた恐ろしいフィリップ・ロスの歴史改変小説に驚愕。大森望が究極の宇宙サバイバルSF『火星の人』を絶賛すれば、関口苑生は重くてえぐい黒川博行『後妻業』にゾワゾワ。間室道子がとことん川上未映子の子育てエッセイを男女問わずでおススメすれば、ハマザキカクは味わい深いコンクリート道路の破損写真集にゾクゾク。そして北上次郎は青山文平の新鮮な時代小説をたっぷり堪能。刺激的な小説を読みたければ青山文平を読め!というおじさんの言葉に耳を傾けてみよう!

 そして今月はシンポ教授が「世界探偵小説全集」を作った藤原義也にインタビュー。歩く編集室の遍歴にぐぐいっと迫れば、大矢博子は国民的ベストセラー作家のクロニクルを作成すべく、東野圭吾の10冊を厳選。読者アンケートが「私のもりもり食欲本」なら、吉田伸子は筑前煮味の鶏ごぼうで「食えばわかる!」と応戦だ。さあ、11月1日からの土日月は今年も来たよの「神保町ブックフェスティバル」。今年こそは雨が降りませんようにと星に願いをかけつつ、本の雑誌11月号を持って、神保町でリトル・マガジン探しと洒落こもう!

目次

今月の一冊

吉野朔実劇場/朝だか昼だかわからない 吉野朔実
新旧いろいろ面白本/文句なしに楽しい大型地図絵本 椎名 誠
歩く編集室の遍歴─藤原義也氏インタビュー 新保博久

特集:リトル・マガジンの秋!

座談会/コツコツ作るのが楽しいのだ! 辻本力・林さやか・宮川真紀
リトルプレス・紀伊國屋書店・真夏の京都 内堀 弘
復活してほしい20世紀ミニコミ10選 ばるぼら
私が気になる!リトル・マガジンカタログ
 坪内祐三・高橋和也・オオウラウタコ・荻原魚雷・木村衣有子・中嶋大介
特殊書店Lilmagの番台(?)から 野中モモ
おじさん三人組、文学フリマに行く!

着せ替えの手帖/我が服装史 内澤旬子
ひるね優先読書録 宮田珠己
活字に溺れる者/流れ流され長尾みのる 荻原魚雷

新刊めったくたガイド

刑事ハリーの第一作『ザ・バット』がついに出た! 酒井貞道
ひたひた恐ろしいフィリップ・ロスの歴史改変小説 佐久間文子
究極の宇宙サバイバルSF『火星の人』登場! 大森 望
重くてえぐい黒川博行『後妻業』にゾワゾワ 関口苑生
とことん川上未映子の子育てエッセイをお薦め! 間室道子
味わい深いコンクリート道路の破損写真集 ハマザキカク
青山文平の新鮮な時代小説を味わう! 北上次郎

名著『ウィンブルドン』が涙のリバイバル! 宇田川拓也
違法ファイルと中学生逮捕(続) 大井潤太郎
ナルシシズム全開近藤正臣の青春解説 倉本さおり
ヴァンダミア『全滅領域』を要チェックだ! 山岸真
朝ごはんと、ぴぽちゃん 浅生ハルミン
フィリップ・K・ディックの転生 水鏡子
理系も文系も熱い「新潮」の頭捻り! 榎本文昌
昭和九年の不思議な和洋折衷製本 津田淳子

読者アンケート/私のもりもり食欲本!
坪内祐三の読書日記/私は「無欲」な人の息子です 坪内祐三
連続的SF話/もっと読みたい! 鏡 明
南の話/ゴミ屋敷のアップダイク 青山 南
吉田伸子の「食えばわかる!」/女の友情の行方と筑前煮味の鶏ごぼう 吉田伸子
百歳までの読書術/むかし読んだ本を読みなおす 津野海太郎
日本SF戦後出版史/『SFハイライト』と『人間の世界』の巻 高橋良平
空海とフラクタル 円城 塔
十八世紀非モテ男のアイタタ光源氏計画 風野春樹
小気味よくドライな『ゴーストマン』がいい! 池澤春菜
『罪と罰』に心酔した元刑事の殺人 柳下毅一郎
今月書いた人
今月本の雑誌に遊びに来た人
掲載図書索引

続・棒パン日常/読めない本 穂村 弘
三角窓口/七月号金井先生の一言に激しく同意だあ 他
子どもの寝てる間に 古幡瑞穂

新・キムラ弁護士のありふれない一日/緩和ケア 木村晋介
歩く旅/フルンボイル市へ 沢野ひとし
東野圭吾の10冊/国民的ベストセラー作家のクロニクル 大矢博子
後記

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