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2014年3月 満天チャーハン連打号 No.369

 原価原価と騒ぎすぎて、昨今の「本」は情けない姿をさらしてはいないか!? 造本・装丁の妙にこそ、紙の本ならではの価値があるはずだ。というわけで、本の雑誌3月号の特集は「造本・装丁は楽しい!」。平野甲賀と日下潤一の装丁あまから問答から、生涯一版下職人・多田進インタビュー、2013年異常本大賞『胞子文学名作選』関係者座談会、堀部篤史の装丁論に読者の好きな装丁本、そしておじさん三人組の花布屋さんと製函屋さん訪問記まで、電子書籍にはできない、紙の本ならではの味わいに迫る緊急特集だ。さあ、友よ、本を触って、見て楽しもう!

 新刊めったくたガイドは矢口誠が『誰よりも狙われた男』の深〜い余韻にどっぷり浸れば、佐久間文子は巻措くあたわざる『秘密』に圧倒されてためいき。大森望がジャンルSFの集大成、瀬名秀明『新生』を読め!と命じれば、関口苑生はとんでも凄い復讐小説『キアロスクーロ』に驚嘆。間室道子が本読みの"業"を肯定する京極夏彦『書楼弔堂』に因果を想えば、ハマザキカクは世界63カ国の本を集めた痛快ブックガイドに快哉。そして北上次郎はスリル満点ホラ話、『大江戸恐龍伝』がすごい!と絶賛。読み始めたらやめられない全5巻の傑作で、あなたも2014年を開幕しよう!

 そして今月は帰ってきた悲劇の山岳ライター森山伸也が天然マイタケで逆襲。村のムジンくんでキムラ弁護士に立ち向かえば、本誌初登場「武士の家計簿」磯田道史が古文書との出会いを倍返し(?)。単行本『乙女の読書道』も好評の池澤春菜が妖精国のキノコ台詞に叫べば、絶好調「着せ替えの手帖」でもスーツ・ソムリエの登場に一同えええええっと叫び声。キノコがとんで胞子が舞えば春もすぐそこ!? 花粉よけにも最適な本の雑誌3月号とともに春を迎えてくれぃ!

目次

今月の一冊

古文書との出会い 磯田道史 
新旧いろいろ面白本/シルクロードを歩く人たち 椎名 誠 
吉野朔実劇場/私は騎手を許さない 吉野朔実

特集:造本・装丁は楽しい!

新春装丁あまから問答/デザインは演出力だ! 平野甲賀・日下潤一・鳥海修 
本の魂は細部に宿る 堀部篤史 
『胞子文学名作選』関係者座談会 井上有紀・里舘勇治・吉岡秀典・渡部寛康 
多田進インタビュー/本のたくらみ本のたのしみ 正木香子 
読者アンケート/この装丁が好きだ! 
おじさん三人組、花布屋さんと函屋さんに行く 

山岳ライターの憂鬱/マイタケとムジンくん 森山伸也 
活字に溺れる者/海外コラム&コント入門 荻原魚雷
ひるね優先読書録 宮田珠己
着せ替えの手帖/スーツ・ソムリエあらわる! 内澤旬子 
トヨザキ社長の「寄らば斬る!」/現代を描くザ・全体小説『地図と領土』 豊﨑由美

新刊めったくたガイド

『誰よりも狙われた男』の深い余韻にひたる 矢口 誠
巻措くあたわざる『秘密』に圧倒される! 佐久間文子
ジャンルSFの集大成 瀬名秀明『新生』を読め! 大森 望
とんでも凄い復讐小説『キアロスクーロ』 関口苑生
本読みの“業”を肯定する京極夏彦『書楼弔堂』 間室道子
世界63カ国の本を集めた痛快ブックガイド ハマザキカク
スリル満点ホラ話『大江戸恐龍伝』がすごい! 北上次郎

特大スケールの大河ロマン『凍てつく世界』完結! 宇田川拓也
創価学会と小書店 大井潤太郎
毒舌だけで終わらない談志の解説 倉本さおり
最新ヒューゴー賞受賞作登場!『レッドスーツ』をお薦め 山岸真
ひっつきむしの図鑑書庫が欲しい! 浅生ハルミン
書庫が欲しい! 水鏡子
「文學界」の櫓投げが炸裂! 榎本文昌
『おやすみプンプン』最終巻の大胆カバー 津田淳子

百歳までの読書術/映画はカプセルの中で 津野海太郎
坪内祐三の読書日記/『装丁雑記』は岩波ブックセンターで売ってます 坪内祐三
連続的SF話/本や古本の本 鏡 明
南の話/ジャイプルの対決 青山 南
吉田伸子の「食えばわかる!」/牛肉の大和煮缶入り肉じゃがと母の愛 吉田伸子
ベストセラー温故知新/作家が訳したヒッピーの夢 入江敦彦
日本SF戦後出版史/『SF入門』の巻 高橋良平
楽しい自己人体実験 円城 塔
世界を記述する三世紀中国の博物誌 風野春樹
妖精国のキノコ台詞に叫ぶ! 池澤春菜
ロシア美女(?)総まくりのニッチなエロ妄想記 柳下毅一郎
今月書いた人 
今月本の雑誌に遊びに来た人 
掲載図書索引 

続・棒パン日常/藤圭子の少年マガジン 穂村 弘
三角窓口/垂涎の日本三大コロッケ文学を考察する! 他
子どもの寝てる間に 古幡瑞穂

新・キムラ弁護士のありふれない一日/予兆3 木村晋介
歩く旅/上海の竹の魔法瓶 沢野ひとし
橋本治の10冊/無人島に持っていきたい永遠のスタンダード 入江敦彦
後記 

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