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2016年12月 歳末ぜんぶのせ号 No.402

 藤原道長の摂政就任から1千年、徳川家康が没して400年。幕府が滅んでも日本は続く。歴史があって今があるのだ! というわけで本の雑誌12月号の特集は「歴史小説に学べ!」。歴史小説で日本史年表を作る座談会から、関ヶ原に忠臣蔵、信長、龍馬に新選組と"if"が気になる歴史小説ガイド、敗者の美学に司馬遼太郎『峠』再読の衝撃、そしておじさん三人組の赤穂浪士凱旋コース徒歩の旅まで、歴史小説の醍醐味が満載の30ページ。真田丸好きの歴女にも受験生にも超お役立ちの年末スペシャル特集なのだあ!

 新刊めったくたガイドは酒井貞道が血と暴力が駆け巡る長編4連発にハヤカワの本気を見れば、都甲幸治は鋭い問いを突きつける温又柔『来福の家』の復刊で招福。大森望がピーター・トライアスの改変歴史SFに五つ星を打てば、円堂都司昭は十二人の子どもたちの緊迫感溢れるミステリーに◎。沢田史郎が命がけの闘争を描く須賀しのぶ『また、桜の国で』に目頭を熱くすれば、青木大輔は禅僧と司祭の濃厚対談『禅と福音』を面白い!と絶賛。そして北上次郎は谷瑞恵『木もれ日を縫う』に大注目! 北上おじさんがまったく、うまい、とベタぼれのどんどんズレていく小説を堪能してくれぃ!

 今月の図書カード三万円使い放題!には酒井順子が登場。紀伊國屋書店新宿本店で大漁めざし、じっくり選んだ本は2カゴ分。なにを買ったかは78ページだ。そして今月の読み物作家ガイドは特集合わせの司馬遼太郎! 司馬遼作品はすべて男のための青春小説である、と断言する黒田信一が選んだ10冊はなにか。要チェック。さらに「ホリイのゆるーく調査」がノーベル文学賞作家の読破調査なら、鏡明の「連続的SF話」も謎の歌本でディランのノーベル文学賞にびっくり。さあ、秋も深まり、今年も残すところ1か月。「着せ替えの手帖」でラグジュアリーに変貌して、本の雑誌12月号を片手に歴史探訪といこう!

目次

本棚が見たい!

12月の本棚 ブックス音羽/12月の書斎 森英俊
一私小説書きの日乗/新起の章(四) 西村賢太 
図書カード三万円使い放題!/めざせ大漁 酒井順子

特集:歴史小説に学べ!

座談会/歴史小説年表を作ろう! 青木逸美・内田剛・浜本茂 
“うつけ”を貫く壮快な一生 青木逸美 
群像劇からSFまで天下分け目の戦いだ! 細谷正充 
「忠臣蔵」エンタメ集 ペリー荻野 
私の知らない「龍馬」に会いたい! 神谷竜介 
最新新選組小説事情 大矢博子 
薩摩義士の偉大な“負け戦”を見よ! 茶木則雄 
司馬遼太郎『峠』再読の衝撃 北上次郎 
読者アンケート/わが地元の歴史本! 
おじさん三人組、討ち入りをする!

新旧いろいろ面白本/底知れぬ物語を秘めたモノクロのインド 椎名 誠 
読む京都/非プロ作家のフツーの京都 入江敦彦
着せ替えの手帖/どんどんラグジュアリー 内澤旬子 

新刊めったくたガイド

血と暴力が駆け巡るハヤカワ四連発! 酒井貞道
鋭い問いを突きつける温又柔『来福の家』 都甲幸治
ピーター・トライアスの改変歴史SFに五つ星! 大森 望
十二人の子どもたちの緊迫感溢れるミステリー 円堂都司昭
命がけの闘争を描く 須賀しのぶ『また、桜の国で』 沢田史郎
禅僧と司祭の濃厚対談『禅と福音』が面白い! 青木大輔
どんどんズレていく『木もれ日を縫う』に注目! 北上次郎

伊岡瞬渾身の捜査小説『痣』がいいぞ! 宇田川拓也
凶悪犯の第一声 小野一光
開店の朝 堀部篤史
短篇集『ゴッド・ガン』でベイリーSFを堪能! 山岸真
うしろ姿のひと 秋葉直哉
新聞マンガの奥深い世界 彩古
日本国内の国境をたどる 今尾恵介
誤植のない本 栁下恭平

サバイバルな書物/勝負に生きる男たち 服部文祥
ユーカリの木の蔭で/蜘蛛の饗宴 北村 薫
坪内祐三の読書日記/朝日新聞の「素粒子」に何が起きたのだろうか? 坪内祐三
連続的SF話/謎の歌本 鏡 明
南の話/オアハカ文芸事情 2 青山 南
そばですよ/四ッ谷しんみち通り、夜を攻める 平松洋子
鬼花──鬼刑事・花篤好美/ガサガサうるさいナイロンジャージ 中場利一
世界の終わりへ続く日々 円城 塔
流行を反映する誇大妄想の変遷 風野春樹
「映画の教科書」の懐かしい書き込み 若島 正
初代ウルトラマンの人柄に涙! 矢口 誠
ホリイのゆるーく調査/ノーベル文学賞作家をどれくらい読んだか 堀井憲一郎
歩く旅/黒竜江省、竜江県白山郷を歩く。 沢野ひとし 
司馬遼太郎の10冊/“青春”を追い続けた男たち 黒田信一 
掲載図書索引 

続・棒パン日常/作家名のある歌 穂村 弘
三角窓口/JR京都線の多機能トイレは考えものだ!? 他
本屋の帰り道 徳永圭子

今月書いた人 
今月本の雑誌に遊びに来た人
後記 

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