2017年8月 空の向こうで口笛号 No.410
- 取次搬入:2017年7月10日
「知」とはなんぞや!? 知りたくはあれどなんだか恐れ多い。近寄ってみたいがどうにも近寄り難い。などといつまでも怖がっていていいのか! というわけで、本の雑誌8月号の特集は「知の巨人に挑む!」。知の巨人・松岡正剛に迫るロングインタビューから、どの巨人があなた向きかがひと目でわかる知の巨人チャート、小林秀雄に山口昌男、荒俣宏と、近しい人が語る巨人の素顔、そしておじさん二人組の知の巨塔訪問記まで、「知の巨人」にぐいぐい迫るチャレンジ特集なのだ!
新刊めったくたガイドは、♪akiraがゴダード〈1919年三部作〉の超ドラマチック完結に思わず作者名を二度見すれば、江南亜美子はゆっくり繊細に描かれる家族の再生と愛の物語に「グッド」「バイ」。大森望が家電と呪物が入り乱れる果てしないドタバタ劇に太鼓判を捺せば、若林踏は黎明期の鉄道ミステリ『開化鐵道探偵』をお薦め! 北村浩子が感動的なDV男小説、又吉直樹『劇場』を怖がれば、青木大輔はバッタ愛が燃え盛るウルドの情熱にびりびり! そして北上次郎は「犬の記憶」をゆさぶるテランのロードノベルにざわざわ。犬を愛するすべての人への、初夏のプレゼントだ、と断言するおじさんとともに、祈り、ざわざわしよう!
そして今月はお待たせの上半期ベスト1も発表。独断の偏見の上半期エンターテインメント・ベスト10対談で、2017年5月末までに出たエンターテインメントのおすすめ本が揃い踏み。神保町さくら通りの定食屋で激論3時間の末に決定したベスト1は、波乱万丈の古代ロマン『〇△の娘の〇△●』! さあ、読み逃し本をチェックしたら、団扇にスイカに蚊取り線香を用意して、読書三昧の夏を満喫しよう!
今月の図書カード三万円使い放題!の挑戦者は直木賞作家・森絵都。本気で本を買う地・池袋のジュンク堂書店池袋本店で自腹を恐れず「殿様買い」した16冊とは、さあ、何か。要注目だ! そして今月は吉村博光が"いつか"を求め続けた者たちを沢木耕太郎の10冊で紹介すれば、平松洋子「そばですよ」は築地の歴史に踏み込む大河シリーズで堂々再開。好評「黒い昼食会」が金兵衛の日本橋限定ミックス弁当を食しながら文庫のガチ100が見たい!と米粒を飛ばせば、堀井憲一郎は中原中也の一詩の値段をゆるーく調査。さあ、半期に一度の特大号でちびっと高いが、中身はますます大充実。おぎにおぎなく、はぎにおぎあり、本の雑誌8月号で夏休み読書計画は万全だあ!
目次
8月の書店 ブックス王子/8月の書斎 関口靖彦
図書カード三万円使い放題!/自腹を恐れず「殿様買い」 森 絵都
黒い昼食会/文庫のガチ100が見たい!
新旧いろいろ面白本/アリンコも考えている 椎名 誠
一私小説書きの日乗/新起の章(十二) 西村賢太
ユーカリの木の蔭で/天狗になった話 北村 薫
着せ替えの手帖/戦闘服を求めて 内澤旬子
特集:知の巨人に挑む!
インタビュー/松岡正剛をつくり上げた重量級の本たち
知の巨人、なれないまでも肩に乗ろう 山本貴光
わくわく知の巨人チャート!山本貴光
小林秀雄の否定文から讃嘆文へ 坂本忠雄
山口昌男先生のこと 坪内祐三
博物学と百科事典 荒俣宏の龍脈 下中弘
おじさん二人組、東大に行く!
特集:上半期ベスト1
エンターテインメント・ベスト10対談
読者アンケート/私の上半期ベスト1!
新刊めったくたガイド
ゴダード〈1919年三部作〉が超ドラマチックに完結! ♪akira
ゆっくり繊細に描かれる家族の再生と愛の物語 江南亜美子
家電と呪物が入り乱れる果てしないドタバタ劇 大森 望
黎明期の鉄道ミステリ『開化鐵道探偵』をお薦め! 若林 踏
感動的なDV男小説 又吉直樹『劇場』が怖い 北村浩子
バッタ愛が燃え盛る! ウルドの情熱に痺れる!! 青木大輔
「犬の記憶」をゆさぶるテランのロードノベル 北上次郎
熱くて激辛な物語『ドッグ・メーカー』をオススメ! 宇田川拓也
文庫夏の陣第二ラウンドで注目作目白押し! 内田 剛
店主の蔵書が並ぶ古書らせん堂 島田潤一郎
50周年を記念して堂々スタートの〈ローダンNEO〉 山岸真
仕事を隠す漫画家と娘の物語『かくしごと』 不破ナルミ
アトリヱ社の現代ユーモア小説全集 彩古
参勤交代に行く前に藩主は何を食べたか 鎌倉幸子
ドライブインを訪ねた郷土史のような月刊誌 原カントくん
サバイバルな書物/倫理は科学的好奇心を抑えられるのか? 服部文祥
たのしい47都道府県正直観光案内〜佐賀県・福島県編 宮田珠己
読む京都/イケズで対等な京都智力“文殊隊” 入江敦彦
坪内祐三の読書日記/足を痛めたはずなのにツボちゃんは相い変らずの運動量 坪内祐三
連続的SF話/わからないことの物語 鏡 明
南の話/それでも書くのだ 青山 南
そばですよ/あの名物そばから築地の歴史が見えてきた(上) 平松洋子
鬼花──鬼刑事・花篤好美/美鈴の事故死 中場利一
友達は二百人できません 円城 塔
続けて読んだ二冊の青春小説 徳永圭子
私は遠く 秋葉直哉
自閉症への見方を変える本 風野春樹
掲載図書索引
続・棒パン日常/昭和の続き 穂村 弘
三角窓口/関西以外で関西弁を喋る女性は色っぽい! 他
今月の男前/矢部潤子
ホリイのゆるーく調査/詩人はどれだけ文庫に入っているか 堀井憲一郎
歩く旅/六月の別れ 沢野ひとし
沢木耕太郎の10冊/“いつか”を求め続けた者たち 吉村博光
後記